「もーまんたーい」


ぐったりとベットに寝転がればテリアモンがてこてこと歩いてきて、同じく「もーまんたーい」と私に飛びついてきた。きゃっきゃとはしゃぎながらベットの上を転がればジェンの香りがふわふわ漂って、なんだかむずがゆい気分になる。「あんまり埃たてないでよ」「大丈夫、ジェンの匂いしかしない」「またそんなこと言って…」



はぁ、とため息をついてベットに腰掛けたジェンにテリアモンが「あーてれてるー」と間延びした声で言った。照れてる?悪戯半分に顔を覗き込めば、ちょっとだけ顔を赤らめてふいっと顔を背けられた。本当だ、照れてる。



「ジェンが照れてる」


「ジェンがてれてるー」


「別に照れてない!」




顔を真っ赤にさせて反論してきたジェン。あんまり見れない表情が可愛くて、もっと照れさせてやろうという思いから抱きつく。テリアモンも加勢して抱きついた。
なにか言ってるジェンを無視して三人まとまってベットの上でごろごろとする。ときどきジェンの髪が鼻先を掠めては、なんだか心地よくてぎゅっと腕に力が篭る。



「いい加減はなれろって」


「うゎっ」



突然掴まれた手がベットに押さえつけられる。目の前には、転がりすぎて息をきらせたジェン。ん?これって傍からみたらああいう場面に見えなくも…ない?



「ジェン」


「あ、いや…これはそんな下心とか、」


「下心とか?」


「ない…とは言い切れないけど、偶然っていうほうが正しいような」


「つまり、ジェンはそういうことがしたいの」


「だ、だって君が人のベットでごろごろしたり、挙句の果てに抱きつくなんて」



もごもごとばつが悪そうに口を動かすジェンはいまだに私の手を捕らえたままだ。



「別に私、嫌とは言ってないよ」


「…え?」


「してもいいけど」



驚いた顔して、顔を綻ばせたジェンがおずおずと私の頬に手をあてる。何回か啄ばむようにキスをして、ジェンの手が私の服に入ってくると同時に「痛っ」というジェンのうめき声が聞こえ、何事かと見ればジェンの肩に乗ったテリアモンがなんと、頭のツノでジェンの頬をツンツンとさしているではないか。ああ、この子のことをすっかり忘れていた。



「僕の前でえっちぃことしないでよねー」




ぷんぷんと頬を膨らませるテリアモンをジェンが掴み部屋の外に放りなげるまでの速さは尋常じゃなかった。








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