唇をくっつけたり離したりを繰り返す。ジュドーの手は私の頭に回されていたけれど、ただ添えられているだけで私をジュドーの唇へ押し付けるという強引な真似はしなかった。無重力のなかで、私の心も浮ついて胸にどうしようもなく不純な気持ちが湧き上がってくる。でもそれをどうすることもできないし、どうすればいいのかもわからない。


「ねぇジュドー」


淀みない双眸が私を見て数回瞬いた。
なんで私ばっかりこんなに欲情しているのだろう。ジュドーは若干頬が赤らんでいるけれど、きっと私のほうがもっと赤いはずだ。
名前を呼んだきり黙りこんだ私をしばらく見ていたジュドーは、一度首を傾げたが変わらない私の様子をみてまた啄ばむようにキスをしてきた。


「ジュドーはキス好きだね」

「なんだよ急に」

「キス以上はしないけど」

「……女の子がそういうこと言うもんじゃない」


呆れたのか恥ずかしいのかそう呟いたジュドーは少しだけ私から身を引いた。
ジュドーの手が私の頭から離れてそのまま私の髪を弄ぶ。誤魔化しているつもりだろうけど、忙しなく彷徨う視線とときどき開閉する口をみるからして、大分戸惑っているようだった。



「ジュドーったら純情」

「うるさいなぁ」

「そこが好き」

「なんだよ誘ってるのかよ」

「そうかもしれない」

「どっちだよ」


そういって不貞腐れたように、私の髪から手を引いたジュドーは「そのうちな」と捨て台詞を吐いてそそくさと部屋から出て行ってしまった。耳まで真っ赤になっていたなぁ。部屋にはまだジュドーの匂いがまだ少し残っている。冷静になってみて、胸が熱く締め付けらるように苦しくなりどうしようもなく頬が緩んだけど、それだけじゃあ押さえきれないくら気持ちは高揚していた。


そのうちっていつですかと、この戦争が終わったら聞いてみてもいいかな。







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