最近のハルトは目に見えておかしかった。
顔色が格段に悪くなったし、どことなく雰囲気も変わった気がする
いや、でももしかしたら私の勘違いかも、ハルトだって成長してるんだから
私の知らないところでたくさんの事を知って、自分を創ってるんだ、と自己完結しようとしたけどハルトのお兄さん、つまりカイトくんがとっても寂しそうな目でハルトを見つめるものだから、やっぱりハルトがおかしくなったんだ、と心のどこかで納得した。私の予想は、少なからずまったくのハズレ、というわけじゃあないようだ。



「ハルトー遊びに来たよ」


「今日も来てくれたんだ、めずらしいね昨日も来たのに」



「来ちゃいけないの?」



「ううん、全然そんなことない、とっても嬉しいよ!」



嬉しそうに微笑んだハルトの目元にはくっきりと隈が見て取れる。
眠れてないのかな?体調が悪いのかな?
じっとハルトの顔を見つめる私を不審がったハルトが「何?」と首をかしげた。



「何でもないよ、気にしないで」



「そう?ならよかった。今日は兄さんがいないからさ、君といっぱいお喋りできるんだ。兄さんったらね、君と僕がお喋りするの嫌みたい」



いまさらなんでだろうね、と不思議そうに眉根を下げる仕草は以前と変わらない。



「きっとハルトくんが私に取られちゃうんじゃないかって心配してるんだよ」


「兄さんが?」


「カイトくん、ハルトのことだぁいすきだからさ、きっとハルトに近づく悪い虫を徹底的に排除してるに違いない」


「でも君は排除されてないね」



「えー、私ってハルトに近づく悪い虫?」


冗談を言って二人で笑う。
笑いが収まって二人して見詰め合えば、なにが可笑しいのか、口の端から笑いが零れて、触発されたようにまた二人で笑う。
毎日のように交わしていたやり取りだけど、すごく懐かしい気持ちになった。



でも、こう…なんというか、心の奥になにかつっかえたような、変な感じ。
きっとハルトになにか言いたいのだろうけど一体なにを言いたいのか分からない。



「ねぇ、明日もまた来てくれる、かな?」


一瞬のうちに変化したハルトの表情に思わず口元がひくり、と引き攣った。
ハルトの目がきらりと煌いて私を見据える。
いつの間にか握られた手に少しだけ力を込めて、微笑み口を開いて肯定しようとした、けど。
なぜだか言葉が出てこなかった。







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