フローリアンは今日も元気にしています。 最近はよく笑うようになって、同じ顔なのにシンクとは大違いの笑顔を見せます。 優しく生き物と触れ合う姿も無邪気に走り回る姿も、シンクと同じ体なのにまったくの別人なのです。 フローリアンはよくアニスに怒られて私にのところに逃げてくるんですよ。 アニスが怒る、と私に抱きつくフローリアンを抱きしめるときの私の気持ちがあなたに分かりますか? シンクは私を抱きしめるばっかりで、私がシンクを抱きしめるなんてこと滅多になかったんですから、とっても新鮮な感じでちょっぴり嬉しいんです。でもそれよりもっと胸が痛くて痛くてしょうがなくなります。 背格好も声も全部一緒なのに、シンクじゃなくて、でも私を見つめる瞳やさらさらとした髪はあなたと同じ色をしてて。 忘れようかと思っても、目の前のフローリアンをみると嫌でもシンクを思いだすし、教団だってどこもかしこも貴方との思い出ばっかりなんです。 こんなにシンクと過ごした時間がたくさんあるのに、私は、それこそ一生シンクと一緒にいたいと思っていたのに。 あなたが私と生きるという選択をしてくれなかったのが悔しくて仕方がありません。 だから私は一生を懸けてフローリアンを愛し、守っていきます。シンクのことも愛し、憎んでいきます。 きっとあなたは私に忘れられたいと思うでしょうけど、 私は絶対あなただけは忘れたりしません。 私を置いていったのだからそれくらい許してください。 忘却しないことがあなたへの精一杯の仕返しですから。 |