私は一体彼のなにを知っているというのだろう。


彼の子供のころなんて知らない。どんなことで喧嘩をしたのかも、どんな悪戯をして怒られたのかも。小さい頃の彼の声や手や目を、私はみたことがない。凛々しい顔も昔は、愛らしかったんだろうな、なんて考えるのが関の山。だから、私は村を出た彼を怒るあの人たちの気持ちなんて分からない。彼らが積み上げてきたものなんて何もしらないから。悔しい。

ああ、あの女の子はレイのことが好きなのか。きっと小さいころから彼のことを見てきているんだろうな。彼もあの子のことを見てきたんだ。悔しい、悔しい。



でも、私は知っている。彼が強くなりたいと願っていることも、ベイブレードに対する気持ちの大きさも。村を出てから変わった彼を私はあの人たちよりもずっと知っている。ちっぽけだろうね。もしかしたら、彼はずっと変わっていないのかもしれないのに、私にはそれを確かめる術もない。それでも、だけど。



私が一番彼を想っているという確証がほしいんだ。







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