布の擦れる音がして目がさめた。 起きたと頭で理解してからゆるゆると目を開ければ 目の前に私と同じように眠気眼でこちらを見るレイと目が合う。 おはよう、と声をかけるべきだったのだけど、なぜかそこに頭が回らなくてキスしなきゃなんて寝起き独特の変な使命感じみた考えに頭の中を占められていた私は、乾いた唇をぴったりとレイの唇にくっつけた。 「眠い」 「私も眠いよ」 離れた瞬間ぼんやりと呟いたレイの声が頭に響いて少しだけ頭が冴えた。まったく恥ずかしいことをしてしまったと後悔したって遅いんだけど。 お互い無言でいれば綺麗な長い髪がさらさらと頬に滑り落ちてレイが鬱陶しそうな顔をする。 自分でなんとかする気配がしないので代わりに耳にかけてあげれば締まりのない顔で首もとに擦り寄ってきた。可愛いなぁ。 「眠いんじゃないの」 「眠い」 「そっか」 「うん」 そのままさっき私がしたようにレイが唇を押し付けてきて、でも今度はさっきより幾分か時間が長かったような気がする。 いつの間にか私の眠気はふっとんでいて、羞恥心なんてさっきの比じゃないくらいで。 離れた瞬間、気恥ずかしくて「お腹減った」と零せば、なんだかさっきより頬が赤いレイに「空気よんでくれよ」と小突かれた。 あ、これは所謂そういう雰囲気だったのか。 「ごめん」 「はいはい、とりあえず朝飯食おうか」 「レイ」 のそのそとベットから這い出るレイを呼び止めて「おはよう」とすっかり忘れてた挨拶を投げかける。同じく忘れてたらしいレイも思い出したように「おはよう」と返してくれた。 (永遠に繰り返したくなるような毎日) |