君が泣いてるんだ。
それで僕は君の涙を拭ってあげようとするんだ。
拭ってあげたいのに僕の手はどろどろでぐちゃぐちゃで悪いこといっぱいしてきた手で、君の顔は綺麗で眩しくて、僕なんかが触っちゃいけない代物で。


君の笑顔はそりゃあもう素敵なくらい輝いてるよ?誰だって君の笑顔が大好きになっちゃうくらいとってもとっても魅力てきさ。
それにくらべて僕の手ときたら、屑みたいなもんだよ。だぁれも愛しんでなんかくれないし、むしろばらばらにしてやりたいって思ってる奴がいっぱいいるんじゃないかな。
だって僕のせいで人生台無しにされちゃった人もいるわけだしね。


当然のことなんだよ、だから君はそんなことで泣かなくていいんだよ だからやめてよ、僕なんかのために泣くなんてどうかしてるよ僕は誰かに想ってもらえるような奴じゃないんだってば。
ああもう、僕じゃあ涙を拭ってやれないのに、そしたら君はずっと泣いたままになっちゃうじゃないか。僕は君の笑顔が好きなんだよ泣き顔なんて嫌いなんだよ。



「私だってダミアンのそんな顔嫌いよ」


そうやって君は僕の手を容易く握るんだ。
汚いって言ってるじゃないか。



「もういいんだよ、もういいから」


「僕にそんな資格ないんだよ」


「私はダミアンのこと憎んだりしてない、汚いなんて思ってない」



ぼたぼたと彼女の瞳から零れる涙が僕の手を伝って流れ落ちる。
さっき君の泣き顔は嫌いって言ったけど、やっぱりあれ、嘘。
僕のために泣いてくれる君が今はとっても暖かい。
僕なんかのために泣いてくれる人、世界中探しても君くらいじゃないかな。



「いいのかな、僕、君と一緒にいていいのかな」


自分でも声が震えてるのが分かった。
結局僕は彼女の優しさに甘えてるだけだと思う。



「僕なんかが、君のこと守ってもいいのかな」


甘えでも何でもいい。僕を必要としてくれる彼女の傍にいれればいい。
嬉しそうに何度も何度も頷く彼女の頬は
僕の思ったとおり、柔らかくて暖かかった。



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