で、なんで俺は跨られているのだろうか、しかも赤面したコイツに、だまったく意味が分からないうえに非常に気まずい。普段どおり晴れやかな笑顔でいたのなら俺だってこんなに焦らないでコイツのおふざけに付き合ってやることぐらい容易かったのに、今俺に跨っているこいつはさっきも言ったとおり、赤面しているのだ




「お前はいったい何がしたいんだ」





気まずい沈黙を何とかしたくて言ったのに更に顔を赤くして俯かれたら意味がない、むしろ逆効果だいや、別にこの状態が嫌なわけじゃない。それに…男としては嬉しい、ような。だ、断じて思春期だからとかそういうのではなく!純粋に好いてる奴にこういうことされて嬉しくないわけがないというか、あー…とにかく嫌じゃない

それに顔を真っ赤に染めるこいつはいつもよりなんだか女っぽいし、涙目だし、震えるし、




そんな風に自分のなかで葛藤していればふいにシャツをぎゅ、と握り締められた






「テレス、」



「なんだよ」



「テレスは積極的な女の子が好きなんだよね?」



「……は?」






ぼそぼそ、といわれた言葉の意味を理解するのに少し時間がかかった。積極的な女が好き?俺が?いや別にそんなこと言った覚えないんだが。いや別に、と思わず零してしまえば驚愕した表情で目の前のコイツが固まった。






「え、嘘…好きじゃないの」



「あ、ああ」






「ごめんなさい!いきなり押し倒してごめんなさい、重い体のくせに跨ったりとかしてごめんなさい、重かった?重かったよね?ほんとにごめんなさい謝るから嫌いにならないで」





「いや、別に重くなかったし」



勢いよく謝罪され言葉に詰まる結構嬉しかった、と柄にもないことを言ってしまい、今度は俺のほうが赤面する。積極的な子が嫌いなわけじゃないんだよね、と彼女が呟くのに流れで首を縦にふってしまったが、気まずくて黙っていればゆっくりと小さい彼女の顔が近づいた。相変わらず涙目だったし、顔も赤い。あ、いろいろ限界かもしれない



「じゃ、じゃあ、ここで私がキスしてもテレスは私のこと嫌いにならないでくれる?」







別に我慢する必要なんていらないのかもしれない


(本能には、ね)





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