彼女はいつも真っ白なワンピースに真っ白な上着でさらに真っ白な帽子を被っていた。ついでに肌まで真っ白なもんだから真っ白お化けなんてゴーシュたちにからかわれて泣きそうになっていたこともあった。コトアールの人たちはこの日差しのせいで肌はみんな焼けてるから彼女はどこにいても目立つ、よくも悪くも。目立つからからかわれるって分かっているはずなのに彼女はちっとも服装を変えようともしないし、焼けようなんて考えもしてない。なにか譲れないプライドでもあるのだろうかとも思ったけど、どちらかというと気の弱い彼女にそんなものがあるとはどうも考えにくい



「ほんと、真っ白だね」


「それ何回も言われたよ」


「なんでそんなに白ばっかりなわけ?」


「目立つでしょ?」


「君ってそんな目立ちたがりやだっけ」


「違うよ」



にこにこと柔らかい笑みを僕に向けながら、どこか満足そうに理由をはぐらかす。腑に落ちなくて柔らかい彼女の頬をかるーく抓れば情けない声をあげながら、ばしばしと僕の腕を叩いてきた。痛くないけどね。




「ロココは暴力的だよ…」


「潔く理由を話さないからだよ」


うぅ、と唸ってから恥ずかしそうに視線を逸らし彼女は被っていた帽子を目深に被りなおした。


「目立てば、私に気付いてくれるでしょう?」


首を傾げれば、一層恥ずかしそうに顔を赤らめた彼女が、恨めしそうに僕を見た。


「そうしたら、私のこと忘れないでしょう?絶対見つけてくれるでしょう?」


誰がなんて野暮なこと聞かない。
真っ白な彼女は赤い頬を隠すように手で覆って、僕を見つめる。
白と仄かな赤はとても綺麗な色合いだったけれど、彼女の手に触れる色素の濃い僕の手もなかなかにいいアクセントになってるんじゃないかな。








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