愛してるなんて言葉そうそう簡単に言っちゃいけないんだよ。言った彼女はどこか悲しそうで、それでいて少しだけ喜びの滲み出るような情けない顔をしていた。俺は愛してるなんて言葉を乱用した覚えもないし、簡単に口にした覚えもない。だというのに彼女はまた変な顔をしてユーリにもそのうち分かるから、なんて知った風な口を聞く。


「世界には男の人と女の人しかいないんだよ」


「だからといって先程の会話には一切関係ないだろう」


「ユーリは知らないの。よくも悪くも、私しか知らない」





瞳をふせた彼女は一瞬言葉を詰まらせ、耳に残るゆっくりとした口調で喋りだした。
愛してるっていうのはね、代えがきかないの。愛してるは好きがいっぱい集まったものっていう人もいるけどね、私はそうじゃないと思ってる。好きはたくさんのものに贈ることができるけども、愛してるはたった一つにしか贈れないんだと思うの。




「それをお前に贈ってなにが悪い」



「私たちはまだまだ子供ってこと」



足早に俺の横を通り過ぎた彼女の表情を知ることはできなかった

いったい彼女は俺との未来に何を見ているというのだろうか。







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