「セインは本当に天使なの?」 私の頬に手を添え、不思議そうに顔を覗きこむ彼女は、なんの濁りのない瞳をしている。ああ、彼女は本当に純粋なのだ。下の世界のものであるにも関わらず、ある意味私よりも天使というに相応しいのでは、と錯覚させるほどである。 「君のほうが天使なのかもしれないな」 「ううん、だって私は普通の人間だもの。天使じゃないわ」 「人間はこんなに綺麗じゃない」彼女の髪を一房とり口付ければ、恥ずかしそうに頬を桃色に染め肩を竦めた。 「私、綺麗なんかじゃないよ」 私の首に手を回してきた彼女に、心臓がせりあがってくるような感覚になる。行き場がなく手が宙を彷徨う。 「だって、人間が天使に恋しちゃうなんていけないことでしょ」 |