寂しくはない。
最初から何も無かったから。
ここにもう昔の温かみはない。
固い木の椅子はなぜか三脚ある。
冷たい金属製のスプーンやフォークはなぜか三セットある。
お客さん用にしても多い、なぜか布団は三式ある。
なぜかは分からない。
どうしてかは分からない。
理由があったのかも分からない。


「ま、どうでもいっか。」


"家族"が、"親"という存在がここにいたのかさえ、私には分からない。



















「おなかすいたー。」

永「あと一時間我慢しなさい。」

「いやもう無理…。なんかちょーだい、いやください。」


朝から何も食べてない。
寝坊したわけじゃない。
寝起きが悪かった。
理由は……。


「はぁー。」

永「ため息吐くと幸せが逃げるわよ。」

「逃げる幸せなんか無いからだいじょーぶ。」


何言ってんのよアンタ、なんて永子の言葉が耳から耳へ抜けていく。
だって今日はあの子が夢に来なかった。
よく分からない夢を見ただけ。
私に似た二人が居ただけ。
ただそれだけなのにこんなにも私は機嫌が悪くなる。


永「なんだかアンタただお腹空いたってだけじゃなさそうね。何かあった?」

「別に何もないけどさーなんか気分的にアレな時あるじゃん?」

永「曖昧すぎて何ひとつとして分からないわ。」

「だからー、うーん……元気出ないって事。」


あー早くお昼にならないかな。
お腹を満たせば少しはこのよく分からない何かをなんとかできるかもしれないのに。



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焼き。
焼きプリン。
よう分からん女。
こないだの席替えで隣になって、死ねとか言うてきたヤツ。
ギャーギャー騒いだりせん変な女。
自分で言うのもなんやけど、俺はモテる。
そら跡部に比べたら多少は劣るかもしらんがそれでもモテる方やと思う。
だがアイツは俺を罵倒するだけやった。
アイツの親友らしい新藤さんでさえ俺らのファンやのに。


忍「……類友っちゅう言葉も、案外当てはまらんモンやなあ。」

向「は?何言ってんだよ侑士。大丈夫か?」

忍「ん?ああ、おお。何もあらへんで。」

向「ほんとかよ。なんかボーっとしてたぜ?」

忍「大丈夫や。ありがとさん。」

向「ふーん…まあ何ともねーならいいけどよ。」

忍「お、もうそろそろ部活始まるな。行こか。」

向「おう!」




元気に飛び跳ねる相棒の背中を見ながら、彼がまた考え事に耽ってしまい跡部にボールをぶつけられるまであと数秒。














忍「いてっ、」

跡「余所見とは随分と余裕じゃねーの、アーン?」

忍「ゲ……。」

跡「コートに入れ。ひん曲がったその根性、叩き直してやるよ。」

忍「勘弁してや……。」


こめかみを震わせる跡部に、顔がひきつるのが分かった。
考え事なんかしとる場合と違うな……。







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ちょい長い&忍足さんの考察です。
やっと話が進む?かな?という感じですね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!←



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