こんばんは。また会えたね。

こんばんは。あなたは誰?

俺は、------だよ。

え?よく聞こえないよ。

さ、遊ぼうよ。プリンも退屈だったんだろ?

どうして私の名前を知ってるの?

さあ、どうしてだろう?俺にも分からないや。

……変なの。

まあいいじゃん。ほら早くこっちで遊ぼうよ、プリン。

うん。








「………。」


もう朝か。
楽しい時間はすぐ過ぎると言うけれど、それにしたって早すぎないか。
せっかくまたあの子に会えたのに。


「…ま、夢にそんなこと言っても仕方ないか。」


これが夢ならまた見れる気がするし。なんとなく。
さっさと起きて支度をする。
いつも通り誰もいない空間にちらり、目を遣る。


「行ってきまーす。」

「いってらっしゃい。」


返事する人なんていないはずなのに、なぜかあの子の声が聞こえた気がした。








「おはよう永子。」


朝一番、教室に入って鞄を置かずに一直線に永子の元へ行く。私の席に先客が居たから。
そこが誰の席か分かって座ってんのかよ。
お客さんはどうやらあの胡散臭い眼鏡に用があるらしい。
つかアイツ友達いたんだ。


永「あ、おはようプリン。今日の課題やった?」

「あ。」

永「やっぱり忘れてたな。プリン今日当たってたんじゃなかったっけ?」

「あー…。」

永「言っとくけどもうサボれないよ。」

「あー?あ、あー……。」

忍「自分あーあー五月蝿いで。」

「うおっ!」

永「あ、忍足君。おはよう。」


急に耳元で囁くように話しかけてきたソイツは例の眼鏡野郎。
腹立つくらい整った顔でクツクツと笑いながら私を見下ろしている。


忍「おはようさん。もしか自分、今日の課題しとらんの?」

「う、」

永「そうなの。プリンったら今日当たってんのにだよ。あの先生キビシーよ。」

「え、」

忍「そやなあ。忘れもんするだけで相当機嫌悪くなるしなあ。」

永「課題なんて忘れた日には怒り狂って手がつけられなくなるかも。」

「……。」


なら私の選択肢はひとつ。
逃げるしか「待て待て待て待て。」


「るっさい離せ眼鏡。」

永「プリン…?」

「さーせんした!」


そうだった、忘れてた。
コイツの事を悪く言うと永子が恐いんだった。
掴まれた手を払って、嘆息する。


永「で、どうすんの?せめて当たってるトコだけでもやっとかなきゃ。」

「もう時間ない。」

永「してなかったのは誰よ。」

「ぐ、」


は、反論できない。
と、そこへなぜかまだ居た重低音が。


忍「俺の写さしたろか?」

「は?」

永「いいよ忍足君!コイツ一回くらい痛い目見ないと成長しな、むぐ」

「ほんとに?」

忍「ホンマやって。ちゃんとできとるで。」

「わーいやったね!あざーっす!」

忍「現金な奴やなあ。」


ジトッとした目で睨みつけてくる永子を視界に入れないよう注意しながら眼鏡に向き直る。
たまにはいいとこあるじゃないか眼鏡くん!


忍「ほれ。」

「わーい。」

忍「おっと、その代わり。」


ニッコリ笑いながら眼鏡くんは私が受け取ろうとしたプリントを取り上げる。
不審気な目を向ければ一層笑みを深めて、


忍「俺の名前、ちゃんと覚えや。」

「……善処シマス。」













結局その時間は忍足のおかげで難を逃れた。
コイツにもまあまあいいとこがあるかもしれない。
しれないだけだけど。















そんな私を、何かが見ていた。
それにはまだ、気づけない。
















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お久しぶりです……!
やっと更新できました´∀`
停滞しないよう頑張ります!



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