愛すべき君へ



君がもし、生きることに辛くなって泣いても

君がもし、人生を歩むのが嫌になって躓いても

俺は君を置いて先に行くよ


でもそれはね、
君が嫌いだからとか
君が憎いからとか
そうじゃなくて

好きだからこそ
そうすることが俺に与えられた試練なんだと思うんだ

だって考えてごらん?
俺はいつだってボリスの傍にはいられないんだ
そりゃあね、
出来る限りは傍にいるよ
だって俺だってボリスのこと好きだもん
片時も離れたくないって思ってる

でもね、ボリス
人間は辛い時に限って一人なんだよ
助けを乞うたって
泣き喚いたって
誰も振り向いちゃくれないんだ
そんな時だけ、
世界っていうのは残酷なんだよね

だから誰かに頼って助けて貰うことは当たり前じゃないんだ
だから一人で立ち上がる術は持っていなくちゃ生きていけない
しかもこんな仕事柄だしね

だけど立ち上がったなら
ボリスが自分の力で前を向いたなら
大丈夫、その時はちゃんとその先で待ってるから
ボリスを置いていったりなんかしないよ
俺の隣に来るまで、いつまでだって待ってる
そしていつかボリスが俺のいるこの場所まで来たらさ、
思いっきり抱きしめるよ
骨が軋んでも
そのせいでボリスと俺が一つの存在になっても
抱きしめた君の身体を
俺は絶対に離さない

ね、そしたら怖いことなんて何にもないでしょ?
いつまでだって俺とボリスが笑える日が来るでしょう?
俺達の幸せがそこから見えるでしょう?

だけどね、ボリス
今はまだその時じゃないから
君は俺のためになんて泣かなくていいんだよ


愛すべき君へ
(君の不器用な優しさが好きだったよ)
(だからどうか、ここに来るまではそのままの君でいて)


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