直らない癖

(あっ寝癖)


俺が静雄のそれに気が付いたのはお昼過ぎの休憩時間。
公園のベンチに座り、煙草を片手に不意に右横のひよこを頭を見た時だ。
その黄色い髪のぴょこりと跳ねた寝癖を見た瞬間、俺は思わず煙草を落としそうになってしまった。



なんで俺はこんな可愛いのに今まで気付けなかったのだろう。
そういえば今日、静雄は約束時間ギリギリに来た。
息を切らして すんません と言う静雄に 寝坊かぁ? と尋ねた朝の会話があった。
うん、確かにあった。


(あーあ、もったいね。朝気付いとけば怒んねぇ程度にからかえたのに)

俺は横で同じように煙草を吹かす静雄を見る。
すると、俺がジッと見つめすぎたのか、静雄との視線が絡まる。

「どうしたんすか?」


その瞳が余りにも純粋で、なんだか俺は

「いや、なんでもねぇべ」
「はぁ…そうすか」


(いじめたくなっちまうだよなぁお前のこと)


直さねぇとこの悪い癖


そう思ったってまた同じこと繰り返して
俺はまたお前の怒った声を聞くことになるのだ
でもそれは
決して嫌なことじゃないから


あぁ、俺はまたこの気持ちに気付かず今日も


直らない癖
(だって可愛いんだもん、しょーがねーだろ?)





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