Let's game!!【前半】


今日は仕事が早く終わり、久々に後輩の静雄と飲みにいこうという話になった。
確か二人で。
二人でそう約束したはずなのだが…。


「なんでおめぇらがここにいんだべ?」





俺らの目の前には、情報屋折原臨也、門田率いるワゴン組、来良学園の三人…そしてなぜか粟楠会の赤林にTo羅丸リーダー六条千景。
一体なんなんだ、この集団。

そんなことを考えていると一番近くにいた折原臨也が肩を竦める。

「やっだなぁ、トムさん。俺を誰だと思ってんです?情報屋なんだからこのくらいの情報簡単に仕入れられますよ、っていうか一種の俺とトムさんの愛…」
「あーはいはい、分かったから」


ったぁく、こっちの事情
も考えろっつーの


俺はふぅとため息をついて後ろの静雄を見る。
俺に気を使っているようで店を壊さねぇよう完全にはキレていないものの現在折原臨也が目の前にいるのだ。
いつキレちまうか分かったもんじゃねぇ。


…こりゃあ長いしねぇ方がいいな


そう判断したトムは早々と退散しようと静雄に声をかけようとしたのだが…

「どこに行こうとしてんだい、トム坊」

ぐいっとシャツの襟を引っ張られてバランスを崩したトムは自然とその後ろにいる人の元へと倒れこむ。

「っ赤林てめぇ」
「おやおや、年上に向かってその口の聞き方はないんじゃないかい?」

起き上がろうと体を動かすが赤林が俺の体に回している腕が邪魔で身動きが取れない。

くそっと心の中で悪態をついて睨むと赤林はへらへらと読めない笑顔で 平和島のにぃちゃんもそう思うだろう?と静雄の方に笑いかけていた。

あーあんま静雄にちょっかいかけんなよ
怒らせちまったら俺対処出来ねーんだから


トムは肝を冷やしながら静雄を見ると、何故か無言のまま赤林を睨んでいる。
ん?なんだ、この状況は

「で、トム坊は参加するみたいだけど、にぃちゃんはどうすんだい?」
「勝手に決めんなっ!!静雄、お前先帰ってていいぞ。俺もすぐ…」
「俺も参加します。」
「…え?」





そんなこんなで
俺と静雄は変なことに巻き込まれてしまったのだが。
本番はまだこの時点でなど始まっていなかった。



 ――――――――――――― 


この集団と酒(未成年はもちろんジュース)を飲み始めて30分ほどたった頃、折原臨也がいきなり割り箸の入った箱をテーブルに置いて大声で叫ぶ。

「居酒屋で大人数といえば……王様ゲーーーム!!」




は?


「いや、待て待て。そーゆーのは合コンとかでやるもんじゃ…」
「トムさん、固いなぁ。いいじゃないですか、王様ゲーム。俺は好きですよ」


そりゃあお前はそうだろう、六条。

だけど他の奴らは…

「よし、俺の腕の見せ所!!杏里、見ててくれっ!この紀田正臣、杏里のために」
「園原さん、大丈夫?ほら、正臣の大声で気分悪いって」
「えっ、俺のせい!?」

「きゃー!!アタシ絶対王様なってドタチンと誰かくっつける!!ねぇドタチン、誰とがいい?」
「知るか」

「いいじゃないか、王様ゲームだなんて一生やらずに死ぬと思ってたからおいちゃん楽しみだよ」


…そうでもねぇし。



そして情報屋折原臨也の提案により、この地獄の王様ゲームがスタートしたのであった。






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