ずずっ、とよろしくない音を最後に終わってしまったいちご牛乳。虚しくて、手摺にだらだらと体重を預けながらストローを噛み噛み。ストロー噛む人って甘えん坊なんだっけ?うるせえコノヤロー。屋上から見える景色は絶品だ。青い空、白い雲、涼しい風、そして井浦。 あれ、井浦?


「井浦、いつからいたの」

「いやだな最初からいたよ、苗字さん」

「影ウッス!」

「失敬だな」


今日はピンクだね、にこりと笑いながらバナナオレを片手に上目遣いで見上げてくるので、さっきまで噛み締めていたいちご牛乳を投げつけてやった。よっしゃ、ストレート。


「いたいよ!落ち込みうら」

「うるさいまりもっこり」

「…苗字さん知ってる?ストロー噛む人って甘えん坊なんだよ」

「うるせえコノヤロー」

「俺と一緒だね」


にひひ、って笑いながら手を握ってくるへんたいうら。誰の許可を得たんだ緑、自然と結ばれたいわゆるカップルつなぎ。恥ずかしいから見なかったことにした。



「俺さ、苗字さんみたいな甘えん坊な人好きだよ」



何を言ってるのかこの変態マリモは。視線を向ければ緑の目にばっちりビンゴした。なんだかぬるい空気だ。心なしか赤くなった井浦、強くなる手、近い近い近い! 苗字さんは?、質問された、何を?少し前の井浦の言葉が頭の中でループする。 ねぇ、と促される。「好きだよ」「好きだよ」井浦ループは止まらない、私はもっと男らしい人が好きだ。パンツ覗き見するマリモなんか興味ゼロ。でも口から出たのは「わたしも」、って何言ってんだわたし、違うだろわたし、相手はあの井浦だぞ。井浦がまたにひひって笑った。心臓が速くなる、バレたくなかったから手を強く握った。手汗がすごかったからどうしようかと思ったけど、井浦だったら許してくれると思ったから離さないことにした。






惹かれ逢う引力は嘘をつかない










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