「カカシ先生!」
「…何?」


私の姿を見るなり呆れたように溜息をつくカカシ先生。失礼な反応だな、と思ったけれど、確かに毎日付きまとわれればその反応は当たり前なのかもしれない。でもまあしょうがないのだ。私は先生に一目惚れしてしまったのだから。


「いや、用はないですけど」
「だったらどこかに行きなさいよ。俺は忙しいんだから」
「えー…じゃあ見てるだけでいいです」
「気が散るでしょーが」


チラリとこちらを見たきり手持ちの本から視線を外さなくなったカカシ先生。カカシ先生の目に映りたくて話しかけるけど全然効果はないみたいだ。…なんか哀しいな。やっぱり私みたいな子供じゃ相手にされないのだ。もし私が紅先生みたいな美人で火影様みたいなナイスバディだったらカカシ先生も少しはこちらを向いてくれたかな、なんて考えてみたけれど虚しくなるだけだった。


「…カカシせんせ」
「…」
「胸をでかくするにはどうすればいいの」
「…火影に聞いてきたら?」
「…」


やっぱり先生も火影様みたいなナイスバディがいいのか…。それっきり反応しなくなった私を横目にカカシ先生は再度溜息をついた。何なんだよもう。そんなに私が嫌いか馬鹿野郎好きだボケ。


「胸なんか関係ないでしょ」
「…」
「馬鹿だね」
「馬鹿だよ」


ムッとする私にパタンと本を閉じた先生は椅子から立ち上がると私の近くまでやってきた。下から見上げる先生もかっこいいなー…って言ってる場合じゃないか。今私は呆れられてるんだから。もしかしたら呆れを通り越して嫌われているかもしれない。嗚呼、なんだか泣きそうだ。


「後5cm」
「え?」
「後5cm身長が伸びたらご褒美あげる」
「身長?」
「うん」


身長が5p伸びたらとは女の子にとって中々の難問だ。もしかしたら5p胸をでかくするより難しいかもしれない。それより気になるのはご褒美が何なのか、だ。もしかしてキスしてくれるとか?冗談半分で聞いてみればうん、と満面の笑みで頷かれた。言葉に詰まった私に今のお前とキスするには身長差が大きすぎるからね、と一言投げかけた先生。…そういう問題なのかな。


「せめて2p!」
「だーめ。5p」
「意地悪」
「意地悪を好きになったんだからしょーがないよね」
「なっ…」


この人…!あまりにも軽々しく言い放たれたので赤面する暇もなく目を見開く。そんな私に表情1つ変えずにポンポン、と頭を撫でられた。ホントこの人はずるい。自分に有利な感情はとことん使う太刀らしい。しょうがない、今日から欠かさず牛乳を飲むとしよう。





もう少し先の未来に希望を乗せて






「盗み聞きってダメだよね、アスマ」
「…お前、あんなこと言っていいのかァ?冗談も程ほどにしてやれよ」

「大丈夫大丈夫」



(俺はいつだって本気だからね)




100211