正直言ってうちはイタチは前々から気に入らなかった。その何でも見透かすような赤い眼が凄く嫌いだった。目が合った途端泣き出したいような衝動に駆られるあの感情が嫌だった。時折寂しそうに空を見上げるあの目が大嫌いだった。偽善者ぶって優しく笑ううちはイタチが吐くほど嫌いだった。



「俺が嫌いか?」
「死ぬほど嫌いよ」




そう答えた私の頬に触れて口付けるうちはイタチが嫌いだった。



「お前ってイタチのこと大好きだよな」
「冗談はやめて」




周りにさえそう思わせるうちはイタチの態度が気に食わなかった。



「平和が再び訪れることを願ってるんだ」
「馬鹿げてるわね」




そう答えたのにありがとうとはにかむうちはイタチが気に入らなかった。



















嫌い嫌い大嫌い、そう言っているはずなのに私の口は勝手に動くの。脳で考えた言葉は違う意味となって彼の耳に届くの。そんなのって吐き気がするわ。自分の知らない自分の言葉が気に入らないの。やめてやめてやめてやめてやめてやめて



















「俺が嫌いか?」
「死ぬほど好きよ」


「お前ってイタチのこと大好きだよな」
「当たり前でしょ」


「平和が再び訪れることを願ってるんだ」
「素敵な考えね」




















麻痺した脳内から侵食









100211
自分でもよくわかりません