オイラが1人でマリオ〇ートの説明書を読んでいると、携帯に着信が入った。なんだなんだ、オイラ今マリオにしようかヨッシーにしようか迷っていたところなのに。視線は説明書のまま画面を見ずに携帯を耳に当てると不機嫌そうな旦那の声が聞こえた。げっ…何でこんな朝早くに旦那が起きてんだ?


「もしもし…」
『マリオは俺のだからな』
「は」


ええええ何で行き成りマリオ!?いつもより数倍低い声で絶対マリオは残しておけよ、と電話越しに呟くサソリの旦那。どういうことだ。何故オイラが迷っていたことを知っている。そしてオイラも名無子も旦那に「マリオ〇ートするぞ!」なんて言ってないはずなのにどうして知っている。もしや旦那はエスパーなのか?エスパーサソリなのか?


『エスパーサソリって何だよ』
「うわ!やっぱ旦那はエスパーだ、うん!」
『違ェよ!お前たちが朝っぱらからでかい声で話してるから丸聞こえなんだよ!』


ま、まじかよ…うん。そんなに大きい声で話してたつもりはなかったんだけどな。こんなボロアパートの壁の厚さじゃ地獄耳の旦那には通用しないということなのか。つーかプライバシーの欠片もないアパートだな…うん。


「旦那もマリオカー〇したいのか、うん?」
『…………別に』


したいんだな…うん。明らかに強がった物言いの旦那を軽くあしらって早く来いと急かした。流石にオイラと名無子だけじゃ盛り上がるもんも盛り上がらないだろうしな。電話は既に旦那の手によって切られていて耳元で電子音が響き渡る。暫くするとインターホンも声もノックもなしに入ってきた旦那と目があった。…旦那、寝癖ついてるし。急いで来たらしい旦那の様子に盛大に吹き出しそうになる。どんだけしたかったんだよ。名無子が帰ってきたら驚くだろうな、うん。色んな意味で。