ブログ | ナノ
 そういや…

「んん…、」



ゆっくりと意識が浮上する。


目を覚ますとそこは真っ白い空間だった。









…ああ、そうか。



おれ、死んだのか。















『愛してくれて…………ありがとう!!!』















…せっかく、オヤジ達が助けに来てくれたのに。



弟が命を懸けて駆けつけてくれたのに。



自分が安い挑発に乗ったせいで…、





「…ごめんな、皆。」





ポツリと呟いた言葉は誰にも届かないだろうと思うけど、言わずにはいられない。


でも最期に感謝の気持ちを伝えることができて良かった。

ルフィに伝えることができて良かった。

最期がルフィの腕の中で良かった。



「………、」



そういえばここがあの世ならサボに会えるんじゃねェか?

サボにルフィのことたくさん、たくさん話してやりたい。

ダダン達やジジイのことも。



「ふ…、っ…」



そうだ、サッチはどこだろう。

あいつには申し訳ないことをした。

ティーチはおれの隊の奴だから、きちんとケジメを、








…ちくしょう、もうダメだ。





「う、っ…ひっく、う、うあああ…」





ボロボロ、ボロボロ。

ダムが決壊したかのように溢れてくる。



もっと生きたかった。

皆と冒険し続けたかった。

いろんなものを見て、いろんなものを食って、いろんなものを飲んで。



オヤジの息子であり続けたかった。





「ごめん…ごめんな、ルフィ……、ごめんなァ…」





ルフィ。

大切な大切な弟。

出来が悪くて、弱虫で泣き虫で。

そのくせ無茶ばっかりして心配かけて。



そんなお前を残して死んだのが、苦しくて申し訳なくて。


お前の夢の果てを見たかった。


お前と戦ってみたかった。


こんな、こんな形で別れるなんて…










「エース。」





ふわっと、なにかに包まれた。


温かくて、優しい。





「エース、私よ。」



「…お、おふくろ?」





おれを包む女はよく見ると、おれと同じでそばかすがあった。


おふくろ、という言葉ににっこりと笑った。



「そうよ、よく分かったわね。」


「おふくろ…なのか?」


「会いたかったわ…エース。」



再びぎゅ、と優しく抱き締められる。


おれよりもだいぶ身長が小さいおふくろは、おれの胸辺りまでしかない。
しかも細くて少し強く抱き締めたら、腰がポッキリと折れてしまいそうだ。





「エース。」





おふくろがおれの涙を拭いながら優しく呼んだ。





「そんなに泣かないで、私のエース。」


「……………。」


「あなたには笑顔が似合うわ、あの人のように。」





あの人、とはあの海賊王のことか。

おれの、父親の。





「あなたは今まで本当によく頑張ったわ。」


「おふくろ…」


「皆に愛されたのね、愛を知って育ってくれて…本当に良かった。」





そう言って微笑むと、おれの手をきゅっ、と握り締めた。



「ほらエース、行きましょう。」


「?何処に行くんだ?」


「ふふふ。」



軽くスキップしながらおふくろはおれを引っ張っていく。





その先には…、








「…!!」



「お待たせ、ロジャー。」








胡坐をかいて、背を向けて。


けれどその背中は確かにあの男のもので。








「…遅かったな、ルージュ。」



そいつはゆっくりと振り向き、そう言った。


貫禄のある雰囲気、重みのある低い声。


これが、海賊王。


この人が…おれの父親。





「あー…初めまして、だな。エース。」


「…気持ち悪ィこと言うんじゃねェよ。」


「がっはっは、さすが俺の息子、俺そっくりだな!」





豪快に笑う奴は、世間で言う程の野郎に見えなくて。


…ジジイみたいな、奴だと思った。








「……………おい、親父。」



「!!」



「それから、おふくろ。」



「なあに?」








最初はロジャーが憎くて憎くて仕方なかった。


なんでおれがあんたのガキなんだ、って。


おふくろには感謝していたけど、ロジャーには全く。


生まれた意味も、生きてる意味も全く分からなくて。





でも、今は。





あんたが父親で、良かったと…少し思っていたりする。



なんだかんだでおれがここまで生きてきたのは…あんたの存在があってこそ、だから。










「………ありが、とう。」








それを告げると、2人は満面の笑みを見せてくれた。




------------------------------

エースはぴば!!

家族3人で、お幸せにネ!




comment:(0)
2015/01/02 (16:06)


×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -