魔法少女 | ナノ

あの衝撃的な出来事から3日、円堂たち三人のそれからは変化を見せずにいた。

分かった事と言えば、秘伝書が全て白紙になってしまった事。あのバッジを手にしていると、不思議と感覚が研ぎ澄まされる気がする事。日常生活に支障はない事。それだけだ。

むしろ、周りの環境に大きな変化があったと言った方がいい。
2日前、突如自らを『星の使徒』と名乗る宇宙人が襲来したのだ。彼らはエイリアと呼ばれる星から地球を侵略するためにやってきたらしく、あまりにも突飛な話に誰もが口を半分開けたままテレビの画面を凝視した。

だが、そんな周りの様子に飽きたのか、彼らは円堂たちもよく知るフロンティアスタジアムを破壊し始めたのだ。
凄まじくもある意味清々しい程の破壊っぷりに、テレビの前の全員が更に目を丸くした事は言うまでもない。


そんなこんなで、稲妻町では厳重注意がなされ、前代未聞の事件に警察がフル活動していた。
学校自体もいつ休校になるか分からないが、あれからも雷門中は普通の授業を行っている。変わった事と言えば、部活の時間が大幅に短縮され、5時には完全下校を強制された事くらいだ。それでも、部活が出来ない事は円堂にとってかなりのダメージだったが。

「…で、今日も何も変わりはない、と」
「ああ」
「風丸は?」
「俺も、何も」
「俺も何も変わらない。部活も短いし、つまんねえなあ…」

あれから、部室を最後に出て放課後は三人で下校している。例のバッジをそれぞれ身につけてはいるが、互いに大きな変化はない。変化の程を伝え合うためにこうして下校しているのに、パッとしないのが正直な気持ちだった。

「それより宇宙人だ。あいつらが来たから町が壊されてるんだろ?許せないよな」
「部活も満足に出来ないし」
そう愚痴を零しながら部室の鍵を閉め終わった時、人がまばらになった学校に放送の声が響いた。

『生徒に連絡します。サッカー部の円堂守、豪炎寺修也、風丸一郎太は至急理事長室に来なさい。繰り返します――』

「…ピンポイントすぎやしないか」

風丸の言葉に二人は頷き、速足で校舎への道を急いだ。