小説―稲妻 | ナノ


ヘラへ


久しぶり。元気にしていますか?風邪を引いたりしていませんか?世宇子のみんなと楽しくやってくれていると良いなと思いながら、今手紙を書いています。

僕はひとまず、世界大会が終わるまで韓国に滞在するつもりです。なのでもう少しかかりそうです。
韓国の冬は厳しく、日本の東京とは比にならないそうです。ファイアードラゴンのチームメイトたちに寒さに負けない料理をご馳走になったり、南雲や涼野、特に南雲は人一倍寒がりのようなので暖かくなるためにサッカーをしたり、変わらない生活を楽しんでいます。

韓国での生活にも慣れ、ふと日本が恋しくなる時もあります。思えば、日本を発ってもう3ヶ月以上経っていました。それを素直に驚きの気持ちで受け止めています。
今、日本ではどんなことが起こっているのか。誰が何をしているのか。どんな気持ちでこの世界大会を見ているのか。僕はそのことを考える時、胸が少し痛くなってしまいます。きっと僕が日本を好きだからなんだな、と心から思うのです。

そういえば、ヘラやデメテルがネオジャパンのメンバーに召集されたと聞いた時は本当にびっくりしました。だから僕も韓国代表に選ばれたことを黙っていました。驚いたでしょう?
お互い少し悔しい結果になってしまいましたが、僕はこの結果を決して悪いものだとは思っていません。心からサッカーを楽しめた、良い試合ができたことを嬉しく思います。
そう考えると尚のこと世宇子のみんなが恋しくなります。色々と忙しくて中々楽しんでサッカーが出来なかった。それだけが今も心残りで、早くみんなでボールを蹴りたいと切に願うのです。
それに、君がネオジャパンでどれ程レベルアップしたのかも気になるので、僕が帰った暁には覚悟しておいて下さいね?僕も韓国でかなり鍛えてきたので負ける気はしませんが。

では長くなりましたが、世宇子の皆にもよろしく伝えておいて下さい。皆と再会できる日を楽しみにしています。


亜風炉照美



《追伸》
手紙、ありがと
嬉しかったよ