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目が覚める時はたいていひとりだ。
本丸では、審神者と刀剣男士たちの床は別れている。一応は、主従関係。一応は、性別や生き物としても違うわけだし。昨日も度重なる用事に忙しくて夜まで本丸中駆け回ったあと、近侍だった刀剣男士に「おやすみなさい」と寝床まで送られた。「おやすみ、またあしたね」と私は返して、眠さに負けて布団を被ってしまっていたわけだけれど。
「……あ、目ぇ覚めたか。 主」
「……え?」
いま飛び起きなかった自分を褒めてやりたい。
彼の片目を隠すくらいに長い金色の前髪が、白い枕に散らばっている。意外と筋肉質な胸元が襟から覗いて、普段は見られない彼の身体がそばにありありとしていて──
「ま、待って! なんで獅子王が私の隣で寝てるの?!」
冷静に考えてもおかしい。私間違って獅子王の部屋に来てしまったのだろうか。
はくはくと口を動かすことしかできない私に、獅子王が人差し指を唇に当ててくる。
「待てって。悪かったよ。あの……鵺がさ、久々のあんたの休みが待ちきれないっていうんで」
ん、と誘導された視線の先には、真っ黒な鵺が丸くなって寝ている。
「本当は、鵺連れてこっそり出ていこうと思ったんだけど……。でも、主の目が覚めるのも、俺、待ちきれなかったというか」
もう少し一緒に寝てもいいか。なんて聞いてくるが、正直いま眠れるほど私の心臓は危機管理能力が甘くない。獅子王の温もりを感じながらなんて、そんなの、
「私死んじゃうかもしれないからやめてぇ……」

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