君は私の想いに気づかない。
どうかそのまま気づかないで。


「冴木!!」
「どうしたの。」
ふにゃぁとした笑顔で近づいてくるのは水谷。
「今日、篠岡がさぁ……」
あぁ、また千代の話か。
私はうんうんとできるだけ自然な笑顔でうなづく。
(ホントに幸せそうに話すなぁ……)
そんなことを思うとチクリと心臓の隣が痛む。
「千代、かわいいよね。」
なんて言えば水谷は自分を褒められたかの如く幸せそうに笑うんだ。
「こんな話冴木にしかできないからさぁ、また聞いてね。」
そう言って私のもとを去っていく。
その背中を見ながら私は思う。
(そんな話は私にだけは話さないでほしかったなぁ。)
そうすればこんな苦しい思いをしなくてすんだのに。
私に望みなんかないことを知らないですんだのに。
でも私は耐えるんだ。
彼が好きだから。
彼の幸せを願うんだ。
私は今までの関係に満足している。
そう自分に言い聞かせる。
だから誰にもこの思いを打ち明けない。
一生心の中に閉じ込めておくんだ。
何度泣いたってかまわない。
今の関係が保たれるのなら。
私はかまわないんだ。
だからあなたも気づかないいでいて。





ガーベラ辛抱強さ





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切なくしてみました。


回遊魚

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