お昼休み。
屋上で1人お弁当を食べていると同じクラスの金髪の大型犬が近づいてきた。
そしてちゃっかり私の隣に座って、
「壱ちゃんって身長高いよねー。」
なんてニコニコしながら話しかけてくるのは仲沢利央。
身長のこと気にしてるのにことごとく触れてくるのはこいつだけだ。
私こと冴木壱はこれと言って特別なことはしていないのに身長が180pにまで成長してしまった。
小学校までは154pと少し高いくらいだったのだが、なぜか急成長。
小学校時代の友人に久しぶりに会った時には『えっ!?ホントに壱なの!?』と驚かれるしまつ。
「そりゃどーも。」
この身長のおかげで彼氏なんか一度もできたことはない。
告白した奴らは定形文のようにみんなこう言うんだ
『俺より身長の高い子はちょっと…』
ってね。
結局、男は女の外見しか見ていないんだ。
彼氏ができないのにはもう一つ理由があって、悲しいことに球技大会では私のファンクラブができたり、女の子に告白されたり。
そこら辺の男よりモテるんですよ。
男に告白されたことなんて1回もないのにね!!
だからか、男に変なライバル意識をぶつけられたりもする。
はぁなんてため息ついたらすかさず利央が
「どうしたの?」
と聞いてくる。
「もう少し小さく生まれてきたかってなぁと思いまして。」
「えぇー壱ちゃんはそのままがいいよー。身長高くてかっこいいし、スタイルいいし、足長いし。」
「女としてはかっこいいより可愛いって言ってほしいんですー。」
「壱ちゃんはどっちかっていうと綺麗系。」
「そうじゃなくって、」
ここで区切り一つ大きなため息をつく。
「女の子として見てほしいってこと。」
「俺はちゃんと壱ちゃんのこと女の子として見てるよ?」
急に真面目な顔しだすから心臓が大きく跳ねる。
なんだこれ。
「髪の毛を触る仕草とか、照れた顔とか、うっすらとだけどちゃんとお化粧してるし、いい匂いするし、拗ねた顔とか全部可愛いの知ってるよ?」
だんだんと心拍数が上がっていくのが分かる。
ふと利央が私の髪に触れる。
「俺、ちゃんと見てるから壱ちゃんのこと。」
「利、央?」
「それに、俺、壱ちゃんより身長高いから壱ちゃんのこと抱きしめてあげられるよ?」
利央の手が髪の毛から頬に移動する。
「ねぇ、だからさ、」





「俺と付き合いませんか?」





全ての思考が止まる。
気が付けばお弁当を食べることをやめ利央の話に耳を傾けていた。
「へ、返事は、いつでもいいから!!」
さっきまでの真面目な顔はどこに行ったのやら、今は耳から何から真っ赤にしてきょろきょろとしている。
林檎みたい。
「俺、教室に戻るね!!」
そう言って私の頬から手を離し、私に背を向けて出口へと向かう。
待って、待って、待って、
「待って!!」
私は勢いよく立ち上がる。
その時膝の上に載ってたお弁当がカランと音を立ててひっくり返った。
その音にビックリしたのか利央は肩をビクッと震わせた。
「なに?」
ゆっくりと利央は林檎のような顔をこちらに向けた。
「私、こんなに身長高いんだよ!!イヤじゃないの!?」
「うん。」
にっこりはにかむように笑って彼は続ける。
「だって俺からしたら壱ちゃんは小さいし、それに、外見なんか気にならないくらいに壱ちゃんの中身が好きだから。」
「っ!!」
その言葉がうれしくて気が付けば利央に向かって走り出していた。
そしてぎゅっと利央の首に抱きつく。
「利央、大好きっ!!」
私がそう言うと利央は私の背中に腕を回し抱きしめ返してくれた。
私は今まで別に利央の事が好きだったわけじゃない。
私をちゃんと見ていてくれたことがなによりもうれしかった。
だからちゃんと応えようと思う。
「俺も大好きだよ。」





たっ





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最近、利央が可愛くてしかたがないんです(^^)


回遊魚

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