ヤバいところに遭遇してしまった。
というのが私の状況であって……。
私は昼休み、今日の部活の内容を聞きに行こうと顧問の先生に聞きに行こうと校舎内を徘徊していた。
すると、私の隣の席であり、なおかつ私の想い人である島崎慎吾が告白されているところに遭遇してしまった。
まぁ、モテるのは前から知ってたさ。
彼が女好きだってゆーのも知ってるさ。
きっとOkするんだろーな。
なんて思いながら、ダメだという私の中の良心の言葉を無視して隠れて聞き耳を立てる。
相手の女の子はいかにも女の子って感じで、可愛くて、髪の毛なんか長くてふわふわしてて私なんかとは正反対な感じだ。
私はというと、つり目だし、髪の毛は手入れが楽だからという理由でショートだし、言葉遣い悪いし、所属してる部活は空手部で女にしては筋肉質だし。
どれをとっても可愛らしいところなんて1個もない。
はぁ、とため息をついてまた聞き耳を立てた。
すると信じられない言葉が聞こえた。





「オレ、好きな奴いるから。」





意外だった。
本当に。
絶対にOKするものだと思っていたから。
でも、それと同時に大きなダメージを食らったのも事実だ。
告白してないのにフラれた気分だ。
島崎、好きな奴いるのか……。
そう思ったとたん自分のしてることがひどくバカらしく思えてきて、私はその場を去り本来の目的も忘れて教室に戻った。

私は乱暴に椅子を引いてドカンと座り、机に突っ伏した。
心配したのであろう友人が
「大丈夫?」
と聞いてきたが私は声を出す気力がなく首だけで肯定した。
「そう?無理しないでね?」
そう言って友人は去っていった。
深く詮索をしないのが彼女のいいところだ。
私は目をつむりさっきのことを思い返す。
"オレ、好きな奴いるから"
その衝撃的な言葉が耳に残って離れない。
あぁ、やな感じだ。
グルグルさっきのことを巡っていると、予鈴が鳴った。
それと同時に隣から椅子を引く音が聞こえた。
「なぁ、冴木。」
島崎が話しかけてきた。
「なに?」
私は体を起こすのが億劫で首だけグリンと島崎の方に向けた。
「お前、おでこ真っ赤だぞ。じゃなくて、世界史の教科書忘れたから見せてくんね?」
「しょーがないなぁー。」
そう言って私は体を起こし机をくっつけた。
そして授業が始まった。
何でこう、先生の話というのはつまらないんだろうか。
私が欠伸を一つしたところで隣の奴が私の脇腹を突っついてきた。
「なによ?」
と私が小声で言えば島崎も小声で突拍子もないことを聞いてきた。
「冴木って今ヒマ?」
「………は?ヒマっちゃあ、ヒマだけど……」
授業中だけどね!!
「質問していーか?」
「どーぞー。」
「冴木ってさぁ、好きな奴いる?」
「……はぁ?」
お前だよ!!
と言いたいのを飲み込んで私は
「いたらなんだってゆーのさ。」
と、返した。
「そいつのことぶん殴っちゃう。」
ニヤッといやらしい笑顔で島崎はそう言った。
………。
どーゆーことだ?
私が首をかしげて見せたら島崎は話し出した。
「オレさぁ、今日、告白されたわけ。で、まぁ、フッたんだけど、好きな奴いるからっつってフッたのね。」
まぁ、知ってますよ。
見てたからね!!
なんてことは口にも顔にも出さずに私はただうなずいた。





「その好きな奴ってゆーのが冴木なんだけど。」





「!!!!!!!」
私は今にも叫びだしそうな口を必死に押さえた。
「ここでさっきの質問に戻るぞ?冴木って好きな奴いる?」
心臓がバクバクうるさい。
少しは静かにしてくれ。
顔が熱い。
島崎の顔を見たがいつものニヤニヤした顔だった。
だけどいつもと違うのはほのかに顔は赤くて、耳は真っ赤だってことだ。
私は声に出したら叫んでしまいそうなので指さした。
もちろん島崎を。
すると島崎は一瞬驚いた顔をした後微笑んだ。
「じゃあ、今日からよろしくな。」
夢みたいだ。
昼休みの時のどんよりとした重い気持ちはどこへやら。
今はどこまででも飛んで行けてしまいそうなほど心は軽かった。
私は大きく深呼吸して落ち着いてから口を開いた。
「島崎。」
「ん?」
島崎にだけ聞こえるようにそっと囁く。
「大好き。」
島崎がさっきとは比べものにならないくらいに真っ赤になった。
「おーい。後ろのお熱い二人。授業聞いてるかぁ?」
額に青筋を立てた先生がこちらを睨みつけている。
ハッとなって周りを見回すとクラス中が私たちを見ていた。
「お前ら、放課後職員室にこいよー。」
ヤバい。
これは本当にヤバい。
クラス中にばれたことがヤバいわけでわない。
問題はこの世界史の先生が我が部活の顧問だということ。
そしてその先生は今まで生きてきた年数(28年)とカノジョいない歴が一緒だってこと。
つまり、恋してる奴らが嫌いだってゆーこと。
今日から引退まで私の練習メニューはより一層厳しくなりそうです。











------------------------
長くなってしまった^^;
あまり会話なくってすんません


回遊魚


back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -