はぁ、なぜだ。
なぜ今日に限って休むのだ。
後藤くんよ……
説明しよう。
後藤くんとは今日、私と一緒に日直をやる予定だったメガネをかけた男の子で生まれてこの方病欠をしたことがないという記録を持ったすごい輩なのだ。
なんだが、今日、ついにその記録は断たれてしまった。
風邪をひいてしまったそうな……
そのせいで私は、地図やらなんやらが入った信じられないほど重い(大きさはそうでもない)教材を1階の準備室から3階の教室まで運ばなければならない。
「失礼しまーす。」
そう言いながら足で戸を開けて中にずかずかと入っていき、教材を手に取った。
「お、重い……。」
こんなの運んでたら日が暮れちまうわ―!!(そんなわけがない)
と、思いながらよたよたと教材を何とか運びだし、
バンッ!!
と勢いよく足で扉を閉めた。
周りにいた生徒が何事かと驚きの目を向けたがそんなの気にせず歩き出した。
やっとこせ階段の前にたどり着いた。
さぁ、こっからが難関だ。
1段1段しっかり上っていくがやはり、よたよたしてしまう。
こんなんなら私も学校休めばよかった!!
と、そう思ったとき、ぐらっと視界が変わった。
バランスを崩して重心が後ろに移動した。
倒れるっ……!!
そう思い、きゅっと目を閉じたがいつになっても衝撃が来ない。
誰かに支えられている感覚。
私は目を開き後方を確認した。
「あ、沖くん。」
「冴木さん、大丈夫?」
「え、あ、うん。ありがとう。」
私を支えてくれたには沖くんだった。
「重かったでしょ。」
私が笑いながら言えば、沖くんは顔を真っ赤にしながら
「そ、そんなことないよっ!!」
と、言った。
「またまたぁ。」
とか言ってるけど、少し嬉しかったりする。
「それ、教室に運ぶの?」
「うん。」
そう言うと、ひょいっと私の手から教材を奪った。
「じゃあ、これ、オレが持つよ。」
「えぇ!!悪いよ!!」
「この前、オレも持ったけどさ女の子が持つには重すぎるよね。」
「うぅ、」
「あと、また転びそうになったら危ないしね。」
そう言って、沖くんは軽々と階段を上がっていく。
「沖くんって意外と力持ちだね。」
「意外とってなんだよー。」
笑いながら彼は返してきた。
「オレも男なんだよ?」
振り返りながらそう言った彼の顔は見たこともないような笑顔で……
心臓がドキリと跳ね上がった。
次から彼を見る目が変わりそうです。





男の子





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回遊魚


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