放課後の校舎裏。
「あの、冴木さん。もし、その、よかったら、オレと付き合ってもらえませんか?」
ジーワジーワとセミがうるさく鳴いている。
そんな中、私は見知らぬ男の子に呼び出され、見知らぬ男の子に告白されています。
「そんなこといきなり言われても……。」
困るのですよ。
君がどんな人か知らないし。
てか、名前すら知らないし。
付き合えって方が無理じゃないですか?
なんて思うのは私だけでしょうか。
「オレ、ホントに冴木さんのこと好きで、」
「でも、私、君のことよく知らないし、」
というか全く知らないし。
そう言わないのは私の優しさ。
私って優し〜。
「これから、知ってけばいいと思う!!だから、」
名前も知らない彼が続きを言おうと息を吸ったし瞬間、
「あ!!壱ちゃ−ん!!何やってるの!?」
空気が読めない大型犬がやってきた。
「あ、利央。」
「え、あ、」
名前も知らない彼は突然の訪問者にどうしたらいいのかわからなくなってあわあわしてる。
「オレさぁ、壱ちゃんに用があるんだよね。」
利央は私の手を掴んだ。
「じゃあ、君!!壱ちゃん借りるね!!」
そう言って利央は走り出した。
「え、あ、ちょ!!」
名前も知らない彼は唖然としている。
可哀そう。
でも助かった。
私、告白とかされるの初めてだから、断るのも初めてなわけで。
困っていたから……
前を走る利央はグイグイと私を引っ張ってゆく。
さすが運動部。
脚速いわ。
高校入ってから全く運動していないなまりきった私の体ではついてくのが大変だ。
汗が一筋首筋を流れる。
「ちょ、利央、どこまで、い、行くのよ!!てか、あんた、部活は!?」
練習着、着てるしさっきまで練習してたのかな。
「……。」
答えてくれないのぉ!?
えぇ……
私は諦めて何も聞かないことにした。
諦め早いとか言ってはいけない。
これが私だ。
てか、利央なんか不機嫌?
気のせい?
と思ったと同時に利央が止まった。
が私は急に止まられたため勢いが殺せず利央の背中にぶつかった。
「うぎゅっ!!」
鼻がつぶれる!!
「ねぇ壱ちゃん。」
私が鼻を押さえて唸っていると、利央はこっちを向いた。
野球以外で見たことがない顔だ。
思わずドキリとしてしまう。
「さっきの告白だよね。」
「え?あぁ、うん。」
「それ断って。」
「は?」





「オレ、壱ちゃんがオレ以外の人と付き合ってるのとか許せない。」





「へ?」
「オレ、壱ちゃんが好き。」
まさか、1日で2回告白されるとは!!
でもなんか利央のはなんか違う。
さっきの名前も知らない彼の告白となんか違う。
なんか、こう、きゅーっとするってゆーか、なんというか。
今だ握られている手が何だか熱い気がする。
なんだか顔も……
あ、もしかして、
私、利央のこと好きなの!?
なんて、意識しだしたら急に恥ずかしくなってきた。
「だから、断って。」
そう言われ利央の顔を見てみれば真っ赤だった。
ギュッと握る手の力が強くなる。
「もともと断るつもりだったよ。知らない人とは付き合えないじゃん。」
「じゃあ、オレとは?」
「う、あ、えーと……あーっと。」
私はきゅっと利央の手を握り返した。
「お願いします。」
私は俯いてもそもそと言った。
「ホント!?」
「うん。」
「やったー!!!」
利央はそう叫んでわたしを抱きしめた。
「わっ!!」
「よかったぁー」
利央の声が耳元で聞こえる。
「壱ちゃん、大好き。」
私はそれに応えるように利央の背中に手を回した。











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利央にキュンとする〜(^^)


回遊魚


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