昼休み屋上に行けば冴木の一人ぽつんとさみしげな背中が目に入った。
屋上には俺ら以外誰もいないようだ。
「おい、冴木。」
名前を呼んだら冴木大きく肩を震わせた。
「あ、泉。どうしたの?」
くるんと回って笑顔でこっちを見た冴木の目は真っ赤だ。
「そんな明るく振舞っても泣いてたのバレバレなんだよバーカ。」
「あはは、ですよね。」
「お前、フラれたんだって?」
俺は冴木隣に並ぶ。
「情報収集はやいなぁ。」
そう、冴木は今日隣のクラスの奴に告白してフラれたらしい。
「うまくいかないもんだよね、こうゆうのって。」
はははと軽く笑いながら彼女は言う。
「私が好きなだけじゃダメなんだよね。」
そう言って冴木は俯く。
そんな冴木の顔を覗き込むようにして俺は言った。
「あのさ、お前、俺にすれば?」
「は?」
「俺なら絶対お前のこと泣かせねぇし。」
俺は冴木の手を掴み自分に引き寄せ抱きしめた。
「だから、俺にしろよ。」
フラれて傷心中のこいつにつけ込む俺はズルいのかもしれない。
でも、もう我慢できないほどにこいつのことが好きなんだ。
こいつの泣き顔を見たくないんだ。





don't cry





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泉君はずっとヒロインちゃんのことを見ていたから
告白したのも屋上にいたのも知ってるんです。


回遊魚


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