外は夕暮れ。
真っ赤に世界が染まる。
ガタゴトガタゴト揺れる電車の中。
車両の中は私たちしかいない。
今日は和己と大学の見学に行ってきた。
よほど疲れたのか、和己は私の肩に頭を預けすやすやと眠っている。
いつも周りに気を使って面倒見のいい彼がこうも無防備に寝ていると愛おしいと感じる。
ガタンっ
電車が大きく揺れた。
「ん、」
「和己?」
返事はない。
どうやらまだ夢の中らしい。
和己がモゾッと頭を動かした。
少しこしょばゆい。
「………壱。」
「え?」
名前を呼ばれて驚く。
だって付き合い始めてこの方名前で呼ばれたのは初めてだったから。
頬が緩むのがイヤってほどにわかる。
和己の中では私は冴木じゃなくて壱なのか。
きっと恥ずかしくって私の名前を呼べないんだろうなぁ。
ふふ、と笑みがこぼれる。
起きたら名前で呼ばせてみようかな。
なんて思いながら彼の寝顔をながめる。
あぁ、私すっごい幸せだ。





幸せトレイン





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ヒロインの隣が一番リラックスできる場所なんだろうなぁ
とか思いつつ書いたもの\(^o^)/


回遊魚


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