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天使と悪魔


天使の英智と悪魔の零(過去)


「で、いつになったらあなたたちは私の家を出て行くのですか。」

そう私が問えば目の前の二人は不思議そうに私を見た。と、思ったら再び無視して雑誌を読んだりテレビを見たりと自分の作業に戻って行った。

「話聞いてますか。」
「聞いてるよ、ちゃんと。この前買いに行った服は何処って言ったよね。あれはね、」
「いや、全然違います。」
「これだからお坊っちゃんはダメなんだよ。そうじゃねぇだろ、この前借りたDVD返しに行けって言ったんだよな? 」
「ニュアンスはそうですけど全く違いますよね。」

そう言うと零さんはあれ、違ったのかよと言いながらポテチの袋に手を伸ばした。あれ、それ友達に貰った地域限定のやつ……。勝手に食べないで欲しい。
ある日私の家に突然転がり込んできた彼らは、僕たちは天使と悪魔です、というトンデモ無い電波なことを言って私の家で(何故か)住み始めた。天使の名を英智、悪魔の名を零という。何を馬鹿なことを言っているんだ、ここは私の家だと追い出そうとしたら、何とまぁ天使である英智さんが私の寿命を減らすと言って脅してきたのだ。え、天使ってそんな能力あるの……? と思ってビビってしまい、今に至る。今思えば天使にそんな能力は無いんじゃ……?

「そんなに帰って欲しいの? 僕はなまえちゃんに捨てられたら行くところが無くて犬のようにのたれ死んじゃうのに……。」
「そういう良心に訴えかけてくるのはやめてください。っていうかあなたたち普通の人には見えないしご飯とか食べなくても生きていけるじゃないですか。そもそも何しにここに来たんですか。」
「でも寝床がねぇじゃんかよ。」
「いや、それだったらもうちょっと申し訳なさそうに寝てくださいよ!!! 何家主差し置いてベッドで寝転んでるんですか!!! 」
「あっちではもうちょっと広いベッドだったのに我慢してんだからピーピー言うんじゃねぇ。」
「そうだよ、ふわふわの、キングサイズの。」
「し、失礼だな……。」


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「ごめんね、なまえちゃん。 言おうと思ってたんだけど僕そろそろ天界に帰らなくちゃいけないんだよね。」
「俺もそろそろ自分のとこ帰るわ。」
「え、ということはついに出て行くわけですか。」
「ついにって何だよ。」
「言葉の綾です。……で、いつ出て行くのですか? 」
「今日だよ。」
「急だな。しかしいざ出て行くとなると寂しいですねぇ。」
「何言ってんだよ、お前も一緒に決まってんだろ。」
「はい? 」
「で、結局の所なまえちゃんはどちらが良いのかな? 」
「ど、どちらとは……。」
「分からないの? 」
「えっと……。」
「俺だよな? 」
「僕だよね? 」
「え〜……。地獄と天国だったら断然天国でしょ、」
「俺だよな? 」
「いひゃいです!!! つねらないで!!! 」
「嬉しいなぁ! ありがとうなまえちゃん! じゃあさっさと準備して! 」
「何勝手に話進めてんだよ、おい、なまえ、絶対にこいつより俺の方が良いぞ。騙されんじゃねー。」
「いや、何冗談言ってんですか、行かないですよ。」
「え〜どうせ君はもうすぐ死ぬのに。」
「は? 」
「こいつが勝手に寿命縮めたらしいぞ。」
「ご冗談を……。」
「ははは。僕が冗談を言うと思う? 」
「鬼だ……。」

ていうかまじかよ。