今日は彼女のなまえとワシの寮の部屋で勉強。
普段は図書室とか、なまえの自宅とかなんやけど。

本当は寮に女子が入るのはアカンのやけど、どうやらなまえが意図せずとして寮母さんの弱味を知ってしまったらしく、それに漬け込んでる。脅しではないで?



「だいぶ時間たったな…喉乾いとらん?」
「んー、ちょっと何か飲みたいかも。」
「わかった。コーヒーでええ?」
「ん。めっちゃ甘くしてくれると嬉しいです。」


なまえは甘党やからな。砂糖めっちゃ入れたろ。ワシはむしろブラックがいい。
味覚はあまり合わんけど、それ以外はかなり気の合う恋人なんやないかなと思っとる。


頭は悪くない。少なくとも2人ともT大のA判定もらえるくらいには。
それから、お互いかなり良い性格しとる。腹は読めんし表情変わらんし、諏佐に言わせると周りはそれが恐ろしいらしい。知らんけど。


なんだかんだ言って今年で2年目やし、大学も同じとこ行くし、よっぽどの事が無ければ結婚できたりするんかな?
まあ、願望混じりではあるんやけど。



できたコーヒーを持ってなまえの待つ部屋に向かう。



「なまえ〜、コーヒーでき…」



部屋に入った瞬間、ワシは言葉を失った。



「あ、翔一。ごめーん、少し漁らせて頂きました。」


なまえは俺が見つからんように、と隠しといたエロ本のページをめくっていた。



とりあえず机の上にコーヒーを置く。


「お前…どうやって見つけたん?」


本棚に細工して二重にしてあったはずなんやけど。


「ん?最初はベッドの下とかありきたりの場所探してたんだけど、翔一はもっと巧妙に隠すと思って。」
「よくこんな短時間で見つけられたなぁ…で、結局それ見つけて何か収穫はあったん?」


相変わらずエロ本から目を離さないなまえからそれを奪い取って床に置く。
そもそも女子が彼氏のエロ本見つけたい心理がわからん。



「えー?特にない。」
「なんやそれ。」
「だって、ただ見て抜いてるだけって感じだったし。女子とは欲の感じ方とか処理の仕方とか違うだろうし…」


もう少しオブラートに包んで話せとかこいつに求めても無駄なんはとっくに知っとる。


「せやな。お前が生理の時とかは無理やし、毎日ヤるとかどう考えてもできないやん。」
「うん。死ぬ」


ワシの部屋に連れ込むのも限界があるし、そう滅多に外泊許可を取れるわけでもない。


「ちゅーか引かんの?」
「え?全然。むしろ持ってなかったらそっちの方が引く。」


相変わらずなまえの考えはようわからん。


「まあ、私以外の女で抜いてるとかちょっとは傷つくけどさ、さっきも言ったとおり私とできない事の方が多いわけでしょ?仕方ないし、その辺はある程度割り切ってるよ。」


でも、思った以上に達観した考えを持っていたらしい。理解ある彼女を持って幸せもんやな。



「それでですね、その雑誌のおねーさん達より胸は無いしウエストだって細くないし美人なわけでもないんですけど、目の前にホンモノの女の子がいるじゃないですか。」


急に正座をして、姿勢を正したなまえにこちらも自然と背筋を伸ばす。


「今日は生理とかでもないんですよね。」
「それは知っとったけど。」


何それ変態?と笑うなまえ。


「それはおいといて、えっとですね。食べちゃっても良いんですけど、いかがでしょうか。」


あー、何この可愛い生き物。ホンマあかん。



「ええんやな?」



顔を赤くして小さく頷いたのを確認してから勢いよくなまえを抱き締めて床に押し倒す。
その場にあったエロ本は適当に放り投げた。


据え膳食わぬは男の恥って言うやんか。


眼鏡を外して笑みを浮かべる。


「ほな、いただきます」


据え膳食わぬは男の恥
(しょーいちって舌ったらずに名前呼ぶとか可愛いわー)
(やめて恥ずかしい)
(さて、まだ終わりと思たらあかんで?)
(あれ、やっぱり誘わない方が良かった?)
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