沖田香耶side
沖田香耶、だなんて名乗るのはなんだか気恥ずかしいな。
無事に生まれた私と総司君との子は、可愛い男の子だった。
これも例の悪魔の加護だろうか。……言葉にすると可笑しな表現だけど。
髪は総司君と同じ色で……瞳も総司君と同じ色だ。まるで総司君がふたりになったみたい。
顔立ちや肌の色は私に似ていると言われた。
総司君に似たって私に似たって、いずれにしろ悪ガキになるんじゃないかって、歳三君は早くも懸念の表情だったけど。かつてバラガキと呼ばれた君に言われてもね。
守るものが増えた。
私の世界はずっとここにあった。
心を許せる友。
背中を押してくれた仲間。
私の手を離そうとしない息子。
私の罪を。存在を、許してくれる、伴侶。
この世界は私にそれらを与えてくれた。
だから私はここに根をおろし、彼らを愛して守り、そして世界を慈しもう。
物語は、まだ終わりじゃない。
新しく始まったばかりだから。
完
(2011/10/17〜2012/11/10 2015/2/11改訂)