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月神香耶side



平助君は、やっぱりこの世界でも新選組を離隊してしまうんだろう。
総司君だって、いつ労咳を発症するか分からない。
敬助君は羅刹の研究を止めようとしない。

新選組で生きて、新選組を見限り、新選組のために命を落とす。
そうしようとする、みんなの意志を、変えることはできない。

そうして、私はまた何もかも失うのか。
立ち止まって、泣き喚いて、それでもこの手に残るものってなんだろう。



「───!?」

「わっ!? どうしたの?」

急に飛び起きた私の顔を覗き込み、総司君は眉をひそめた。

「怖い夢でも見た?」

心臓が、どきどき鳴ってる。
総司君は目の横に滲む涙をぬぐってくれた。

……なんて説明したらいいのかわからない。
未来のことを考えてるうちに、どうしようもない不安に駆られる。それだけのことだ。

「……なんでもない」

「なんでもなくてそんなに涙が出るの?」

いつの間にか涙が止まらなくなっていた。

「うぅ…」

「おいで。よしよし」

総司君の腕の中は、安心するはずなのに。

「僕がついてるから」



総司君だって、いずれ死んでしまう。私を残して。
そんなこと。今考えてもどうしようもない。



「……怖いよ」

「泣かないで。君が泣くと、どうしたらいいか分からなくなる」



怖い。
誰かを失うことが。

今が、幸せだから。



私は総司君の肩に顔をうずめて泣いた。総司君はずっと私を抱きしめてくれた。

永遠なんて望まない。
でももう少し、このままでいさせて。

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