隣の席の関興君




隣の席の関興君はぼーっとしている。授業中もぼーっとしているので、先生に指摘されたり、当てられても気が付かない事が多いので私が服の袖を引っ張って教えてあげる。関興君はこんなのでは、頭も悪いのか?と思えばさにあらず、苛ついた先生に黒板をコツコツ叩かれながら、「此処、関興君、答えて。はい、前に出て」と言われて、関興君は気怠そうに、はい、と答えて白いチョークを握り数式を書いていく。その答えがあっているかあっていないかはわからない。何故ならそれは先生が関興君に対して嫌がらせで出した、応用問題だからだ。私の知識量の無さでは、それにこたえることが出来ないのだ。先生は苛立ったように「はい、戻っていいわよ」とヒステリーを起こす寸前の様な顔で、席へと戻した。そして、大きな花丸をつけた。どうやら、正解だったらしい。



「関興君凄い」「普段ボーっとしているのにね」「関羽さんの息子だもんね」周りはざわつき始めたが先生のヒステリックな声に静かに成った。昼食時「関興君凄かったね」「……何が」購買で買ってきた、おにぎりを頬張りながら、お茶で口を潤した後に「いや、あの先生の嫌がらせ問題。答えたじゃん。流石だなーと思って」関興君を目の仇にしている所があったから爽快感すらあったよと興奮気味に語れば関興君は「そう?」と少し驚いたような表情をして、それから相好を崩した。その様子が可愛らしくて、あの関羽さんの息子だなんて思えなかった。「いつも、先生に指摘された時、起こしてくれて有難う」「えっ?!寝ていたの?」「うん……寝ている」そういえば、目は開けていなかったような。そう考えると益々、関興君って度胸があって凄い人なんだなって思えてきた。「そうだ。今日、うち、来て。お礼する」えええええ。



そしてやってきた関家。流石でかい。豪邸か、ってくらいでかい。引き返したくなったが関興のお兄さん関平さんに出くわしてしまった。「おぉ、関興そちらの女性は?」「名前です」「拙者は関平、とお邪魔か?」「兄上」ジト目で睥睨する。お兄さんはははははと朗らかに笑って見せて「すまないな!拙者はお邪魔の様だ」とすたすた中に入って行った。関興君もほら、あがって、あがって。と言うのでお邪魔します。と震え声で言った。関興君の部屋につくと落ち着いた雰囲気の今時の男の子の部屋って感じがして少し安心した。「お菓子、持ってきた。食べて」「あ、有難う」「うん」「それより、さっきのお兄さんだよね?お邪魔ってどういう意味?」私が何気なく聞いた言葉。次にそれは驚愕へと変わる。「私の、好きな人だから邪魔しないでくださいって意味」



「へぇ……は?」「ふふ、可愛い」へぇ、と一瞬納得しかけた自分の壊れた思考回路。今はショートして火花を散らしてほうぼうに引火している。慌てて消火活動を行い喋りかける。「あの、それって」「私の事を、遠巻きで見る人と名前さんは違う。いつも、助けてくれる、それが嬉しくて。気が付いたら好き、に成っていた。私と付き合うのは駄目?」小首を傾げて駄目か?何て尋ねてくる関興君凄く可愛いんだけど色々階段飛ばしにやってきたからこれは困ってしまう。「お返事また、今度でいい?考えたいから」「うん。いいよ」へにゃり。笑って。なんか気が抜けそう。


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