光はいらないよ、僕らはもう迷子じゃない



「よーざーくーらちゃーん」名前の声がして、振り向くのと同時にタックル食らわされた。流石に不意打ちでタックルされて、俺はそのまましりもちをついてしまった。流石に痛くて、これには笑えなかった。どんなに、気が触れているとか他人から言われようと痛いものは痛いから笑えない。俺には感情がある。けど、大抵の人間は俺の事頭おかしーって言ってたまに嫌な事を押し付ける。唯一、庇ってくれるのが名前だ。だけど、よくわかんない。「名前、どうした?痛いよ」「ごめんね、シニヨン解いていい?」頭の二つのシニヨンをツンツンと突きながら尋ねられる。強打したお尻がジンジンする。擦りながら「名前が結ってくれるならいいけど。これ、面倒くさいんだ」と言うと名前は何がそんなに楽しいのだろうか?というか、俺といて楽しいのだろうか?嬉々としながら俺の髪の毛を解いていく。鼻歌なんか歌っちゃって本当に上機嫌みたい。



左右両方のシニヨンを解いたようで、うねった髪の毛が自分の肩にかかった。「可愛いー」「……ねえ、名前〜俺といて、たのしー?」「楽しくなかったら一緒に居ないよー」よくわからないけど、名前の言葉が降り注いでなんか楽しくなった。名前の行動はよくわかんないけどさ、名前と居るとたのしーなぁ、俺ずっと名前と居たいかも。「あはははは!変なのー!名前変わっているって言われるだろ!」「うーん、無いかなー」「変なの変なの。俺なんかといるとね、名前も頭可笑しいって言われちゃうよ」実際そうだ、篠山も磯崎も毒島も俺の事は頭可笑しいっていうし、周りの生徒も関わらない方がいい、あいつちょっと可笑しいっていうからさぁ。



俺だって傷つくんだよォ?俺だって人の心を持っているから、俺だって生きているから。ああ、やばい、泣けてきた。「私ね、夜桜ちゃんと居られるなら、頭可笑しいって言われても平気なの。だって、夜桜ちゃんが大好きだから、自分の気持ちに嘘つきたくないから」そう言って、相好を崩した。じんわりと目頭が熱くなってきて、鼻の奥の奥がツンとして、痛かった。その内に、名前の輪郭がぼやけてきて、ポタリ。雨なんて降っていないのにね、コンクリートを濡らした。そこだけ黒く染みに成っている。



「わわ、どうしたの?!夜桜ちゃん?迷惑だった?だったらごめ「違うんだ!」俺は慌てて全力で否定した。お腹の底から声が出たので、吃驚したように目をまあるくさせて、きょろきょろと目を泳がせていた。そんな名前の不意を突いて抱きしめた。温かい、人ってこんなに温かかったんだ。知らなかった……。「うぅ、俺もォ好きだよ!!俺の事キチガイ扱いしないし、頭可笑しいって言われても一緒に居てくれるとか、本当馬鹿!だけど、大好きだよォ!!」だから、一人にしないで、ずっと一緒に居てくれるよね?何処にも行かないで、ずーっとずーっと俺の傍に居てよ!俺のソレイユ!


Title カカリア

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