サイネリアの独言



15推くらいです。不動ニートです。


私は不動ちゃんを養っている。彼は特に働くわけでもなく家事をしてくれるわけでもなく一日中だらだらしている。まだ逆ならわかるだけど、これじゃあ、ただのひもだよと時々思ってしまう。あ、でも稀に、荷物持ちとして買い物に付き合ってくれる程度ならしてくれる。私が疲れて家に帰ってきても、特に出迎えることはなくリビングでボリボリとお菓子か何かを漁りながら私がリビングに足を踏み入れてから漸く「お帰り、名前チャン」ってこちらをちらりと見てから直ぐに視線をテレビに向ける。私は疲れとともに吐き出される溜息を悟られない様に、小さく溜息をついた。それを察したのか不動ちゃんが隣に座るように促した。



「毎日毎日、お疲れさん。たまにはオレも名前チャンを労わってやろうかな?」なんて言って、私の肩を揉みほぐしだした。あー、結構こっているな、とか耳元で聞こえる声は少しだけ上ずっていた。「オレのために働いてくれているんだもんなァ、感謝しねェと」そういって、今日は珍しく私を抱きしめて頭をくしゃくしゃに成るまで撫でてくれた。どういう風の吹き回しなんだろう、本当にって思ったけれど嫌な気持ちなんてゼロに等しいので(というかゼロ)されるがままになっていた。次第に不動ちゃんの動きがちょっと厭らしくなってくる。



私の弱いお腹の辺りを掠めてみたり、指を躍らせるように脇をくすぐって来たり、際どいラインを通り過ぎていく。「ひゃっ!」「ヒャハッ、名前チャンかわいー声出してどうしたのォ?」わかっていてやっているくせに。不動ちゃんが興奮気味な様子で息を吐いた。「も、もう不動ちゃん……や、やめ、っ。くすぐったい!」気が付いたら、ドサッと視界が反転して天井の白さと不動ちゃんの長い髪の毛がくすぐったかった。この体制やばいんじゃ、と思いつつ口を必死に動かす。「私、仕事で疲れているんだけど!」そういうと不動ちゃんがニィッっと口元に弧を、目を三日月型にゆがめた。「そんなことも分からなくさせてやるよ。癒してやるって言っているんだよ」あぁ、明日は辛く成りそうだ。


養ってあげているのに、不動ちゃんの馬鹿。


Title 彗星

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