絡めとる末路



俺たちだって、もう同じ能力も持たない普通の人間の子供だ。その言葉は何処か悲痛めいていて、ただ痛々しく同情を引く物だったのかもしれない。だけど、その場にいる誰もが彼の言葉に同情をかけなかった。名前も同じだった。「今更?今更子供に戻ってさあ、皆に受け入れらると思っていた?ロデオ君たちは何をしていたのかなぁ?町の破壊でしょう、それから」人を殺しちゃったよねぇ。それって許されるのかなぁ?私のお母さんはもういないんだけど、それでも、俺たちは普通の人間だから受け入れろってか?俺たちは可哀想だからって?じゃあ、私はその可哀想な人に親殺されちゃったもっと可哀想な人だよね?と腹を抱えて笑わんばかりにケタケタけたたましく笑い出したのだ。



「そ、それは、悪かったって思っている!」「悪かった?そんなんで私のお母さんは返ってこないんだけど?君たちはただの犯罪者グループだったこと忘れないでね、セカンドステージチルドレン君。君たちの罪は、消えないよ」罪人の犯した罪は償ったけれど、俺たちは償ってもいないし、罪を犯したという事実は償って刑務所に入っていたとしても消えるわけでもない。俺たちは勘違いをしていたのかもしれない。能力を捨てただけで一般の社会に溶け込んで、普通の子供としての生活を、普通の子供としての幸せを掴みとれるものだと。何の根拠があってそんなものを信じようとしたのだろう?あり得るわけがないのに、俺たちのしたことは許されるものなんかじゃなかったのに!



「ねぇ、ロデオ君。反省して許されるならね、この世には神様も、警察もきっといないんだよ。エルドラドだって設立されなかっただろうね。君たちは犯した罪の大きさに永遠に苛まれ続けるといいんだ。永遠に私たちに詫び続けろ」突き付けられた言葉が重たいのは、全てが事実であるからだ。「ごめんなさ、……ごめんなさい」俺はぼろぼろと涙を零しながら名前に詫びて許しを請い始めた。俺は、俺はなんてことをしたんだろう。って今更に成って、思って力を手放さずにそのまま寿命で死んでしまえばよかったんだとか、そんなことばかりが頭を占めはじめたときに、名前が俺の体を包み込むように抱きすくめて耳元でささやいたのだ。



「じゃあ、ロデオはこれから、私の為に償ってくれるね?」「あ、ああ、勿論だ」泣きながら何でもするから何でもするから許してくれ。俺たちはただ幸せに成りたかっただけなんだ、認めて貰いたかっただけなんだと訴えれば拘束が強くなった。「いいよ、許してあげるよ、その代り、ロデオはこれから私の為に償って、一生懸命頑張るんだよ?」じゃなきゃあ、許さないからね。狂気と嗜虐を宿した瞳が俺をとらえて俺は酷く体が痛んだような気がした。キシキシと骨が軋んでいる。お願い、許して。ごめんね、許して。


title 月にユダ

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