ユラユラ歪む陽炎越しに



痛い表現と、厨2さんっぽい。暴力とプラスで監禁ぽいよ。


名前が嫌いなのか好きなのか俺にはわからなかった。好きな時は本当に大好きだ、大きなくりくりとした目が自分だけを映して世界を隔絶している時、他の人を映さない時。リップクリームを塗っているのだろうか、艶々とした薄桃色の唇が自分の名前を呼ぶ時や話題にあげるとき、俺の事を考えて、占めているであろう頭、脳も。苗字が触れられた時にのみ生じる、愛しい温かさ。それら挙げた全ては苗字の好きな部分だった。



自分以外を映して世界を、他の色に染め上げられるとき。その可愛らしい唇が俺以外の、名前を口にして。まるで小鳥が囀り奏でるように、名前の思考を染め上げるとき。俺以外の事を考えて、行動に移して、俺以外に触れて嬉しそうにするとき。俺は気が狂ってしまいそうなほどの、衝撃が走る。それが大嫌いな部分。世界に必要な物ってなんだろう?って考えた時に、水と空気と食べ物と……と想像していって名前がその妄想に訪れる。不躾な名前を汚す輩は居なくて、世界には俺と名前が二人ぼっちぽつんと佇んでいて、俺に微笑みかけてくれて、時たまに寂しそうな表情を浮かべてくれればいい。



瞼は光すらも遮断するように、縫い付けてしまおうか。口は何も喋れなくなるように、縫い付けてしまおうか。俺以外を考える頭なんて要らないよ、名前どうしたんだ?怯えるなよ、これから、此処でずっと一緒に暮らしていくんだぞ。ああ、ごめんな、苦しいよな。猿轡が邪魔で喋られないんだな。でも、名前がいけないんだぞ。春馬助けて、助けてなんて、阿呆見たく何度も叫ぶから。春馬って、誰だっけって……ちょっと考えてしまったけど御門の事かと気付くのに時間はあまり要さなかった(俺たちは御門って呼ぶから春馬って言われても一瞬で御門が思い浮かばないんだよな)。怯えるなよ、もう殴らないでやるよ。殴ったのは悪かったと思っている、でも、そうしなきゃ名前は黙らなかっただろう?俺は優しいから最小限で抑えてやったんだ。



さっきの言っていたこと?縫い上げるとか?ははっ、冗談に決まっているだろう。そんな血を流して苦しむ名前なんて見たくないし、それじゃあ、俺も見えなくなってしまうだろう?今は名前の頭に御門が寄生しているようだけど、大丈夫、直ぐに御門を追い出して俺だけしか考えられないようにしてやるからな。安心しろよ。何をそんなに怯える必要があるんだ。ほら、猿轡外してやるから、さ。「春馬!助けて!」



猿轡を外した途端、今まで何処にそんな声量を隠していたんだってくらいの大きな声量で、助けを呼んだ。また、出た、御門。俺はぐらぐらとお湯が煮立つように。もうそれだけが頭を支配していて、その態度が頭に上ってしまって名前を殴りつけた。ああ、やってしまった。


title Mr.RUSSO

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