神さまのいない午後に



ギリスとは恋人だけど、夢主を好きに成ったという話。



最初はあの子の事が“嫌いなんだ”と思った。その理由は主にこの点にあった。あの子の事を見かけるたびに胸がちりちりと鋭い針で刺されたような痛みを伴うからだ。その痛みが嫌で、私はあの子を避けていた。同じチームではないから、避けるのは案外簡単だった。目的を共にしただけの集まりなのだから。「ねぇ、ギリス。私ったら変なの。名前が嫌いなのかも、名前は悪いことをしていないのに、酷いよね」事実そうだ、あの子は何も私に酷いことをしていないから、「名前が嫌いなのかい、メイア」でも、僕は君が一番だからね、って私の手の甲にキスを一つキザったらしくして跪いた。ギリスは私の恋人よ。私の大切な。



あの子の笑顔を見たことがないの。変なの。笑わないのかな。って思って、オムに聞いてみた。ギリスは僕以外の男と話す必要なんかあるのかい?ってちょっと怒っていたけど、名前の情報収集って言ったら押し黙った。ギリスの笑顔はいつだってみられるのに、名前の笑顔は見たことがない。……変な気持ち。あんなに逢いたくなくて、避けていて、病気かなってくらい胸が痛いのに。変なの、なんで私は名前のことを聞いているんだろう?



最近、ギリスに指摘された。僕と、居てもつまらなさそうだねとか。名前のことを探しているよとか、心なしか私たちの化身も陽炎のようにぼやけている気がしたの。名前の姿を目で追う癖に、逢いたくない話したくない。それらは常に矛盾していて、下品な色彩を生むの。ギリスは私の恋人よ、言い聞かせるように言えば自分の化身も共鳴した気がした。「メイアは僕の事が好きかい?」「ええ、勿論。今日も素敵よ、ギリス」なんて言ってみたけど何処か、演技口調で……白々しく思った。勿論ギリスは素敵。だけども……、なんでだろう。頭に名前がちらついて、それどころじゃない。



「メイアは、本当に名前が嫌い?」ギリスにそう聞かれたとき私はぎこちない口調で「え、え、もちろん」って答えるしかなかった。だって、ギリスの口調は私を縛り付けるような、強制を持っていたから。怖かったの、だって、普段のギリスがギリスじゃないみたいで。「だって、顔を合わせられないし話も出来ないから」だから、きっと、私もあの子も嫌い合っているの。って自分で言ったくせになんかとっても深く傷ついた。「嘘つきだね、メイアは」でも、僕は教えてあげたくないな。って言いながらニンマリ口元が歪んで教えてくれたの。「それは恋、だよ。名前が好きだからこそ、嫌われたくなくてお話も、顔も合わせられないんだ」僕の事見てもくれていなかったんだね。ああ、あの二人のおそろいの化身すらも、嘘だったんだ。ギリスが私の頬を強く強く両手で抑え込んでキスをした。ギリスは私の****よ。だから、変じゃないのよ。何一つね、



***に言われてから、私は名前が好きなんだって、気が付いた。私は****を裏切っていたの。知らず知らずのうちに***を傷つけて、****をやめたいって言っていたの。今日はドレーヌと名前が二人でお食事しているのを見た。笑っている顔を見た、胸が焼け焦げるように痛い。胃がキリキリと小さくなるような気分がしたの。ああ、***、ごめんなさい。きっと、貴方の言う通りよ。私はきっと、恋を名前にしていたの。しかも、初恋よ。貴方との****ごっこは、きっと、詰まらないお遊戯だったの。きっと、一人で死ぬのが怖かったゆえにやっていたことなの。謝っても謝りきれない、でもね、許してとは言わない。だって、気持ちに嘘はつけないもの。名前、名前*しているわ。もしも、許されるのなら名前の****に成りたいくらいよ。



名前を*しているの。変かしら女の子同士なのに変かしら?でも、*しちゃったから、****に成りたいと思うの。***は相変わらず、私の****よ。****ってなんなのかな?女の子同士だと****にも成れないの?ううん、違うの。私には***が居たからよね。ああ、裏切ってごめんなさい、名前に*をしてごめんなさい、***。

title カカリア

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