今すぐ爆発しろ!



星降が大人しく、名前に背を向けて髪の毛を弄らせている。僕より長い髪の毛を名前が楽しげに弄っている。腰まである長い髪の毛は弄りがいがある、といっていた。星降も、星降だ。ポニーテールとかみつ編みとかツインテールにされてもされるがままって、どうかしている。一応、男なんだから抵抗とかすればいいのにぃ。「出来た?」「今日は〜、お団子です!」



名前が小さな手のひらサイズ程度の手鏡を星降に手渡した。星降がそれで確認している。太陽の光がキラリと反射した。「星降さぁ、何で抵抗しないんだよ」僕がそういうと、星降がキョトンとした表情で僕を見ていた。「だって、暑いじゃん。結んでくれたほうが楽で良い」「……あ、そ」星降は案外そういうところ無頓着のようだった。これ以上の追求はしない。多分、これ以上の答えも無いだろうから、無駄だろう。確かに練習中とかは走り回ったりして、暑いから結ったほうが楽なんだろうけれど。僕にはプライドって物がある。「宵一も結ぶ?宵一はツインテね」「はぁ?やだし」



カラーのゴムを腕からはずそうとしているのをみて僕は止めた。僕はいいや、ツインテールとか……名前が楽しんでいるだけとしか思えないし、余計に嫌だ。「えー、宵一の髪も見ていてうざったいなー、と前から思っていたのに。香宮夜は結ばせてくれるけどね」「ねー。本当うざいよね。見ていて暑苦しい」人のこと言えないくらいだらだら伸ばしているくせに。僕のこと批判するのは間違っていると思う。というか、ねー。とかマジうざいんだけどぉ。星降が可愛く言って、誰得だよ。暑いのと二人の仲がいいのとで二重の意味でいらいらする。「うざっ」



「じゃ、名前も結ぶね。動かないで」「頼むねー」名前の細い腕から、星降がするりとゴムを取って名前の髪の毛を手に取る。いちゃつくなら別の場所でしてくれない?マジでうざい。目につくんだよぉ!ていうか、此処が何処かわかっているぅ?部室だよ?ぶ・し・つ!言っても無駄だろうけど。暫くぼんやりとその光景を見つめていたら星降が腕を止めた。名前の髪型はきっちり、星降と同じになっていた。……なんか、むかつくんだけど。


「はい、出来たよ」「香宮夜とおそろいだー」「きもっ」キャッキャッと嬉しげに星降に抱きついている。爆発してほしい、今すぐに!僕に対するあてつけとしか思えない。星降はなんだか相好を崩して僕に言ってきた。「俺は名前とお揃いにするから結ばせているんだよ、西野空」何、その幸せそうな顔。デレデレしちゃって、馬鹿みたい。そういうことなら、僕も結ばせればよかった……。

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