光良



!微妙に流血。病んでいるように見えなくもない。



爪を立てて傷口を引っかいた。もう殆ど傷口は瘡蓋に塞がれていて治りかけていたというのに、痒みに負けてしまった。なんで、治りかけの傷口はこうも痒いのだろうか。ガリッ、嫌な音が聞こえたと思いきや、瘡蓋が爪に挟まっていてデロリと赤黒い血が溢れ出てきて、腕を伝った。血の独特の匂いがして、顔を顰めた。グロいのも血もどちらも耐性が付いていない。痛いのも嫌いだ。



「あっはははっ、そんなに引っかいちゃ駄目だろー!」何が面白いのかいつものように、爆笑しながら夜桜が私のことを観察していた。大抵視線を感じると、その先に夜桜がいて私のことをジッと観察している。何が面白いの、と尋ねれば「俺、お前好きだからたのしーよ」って笑っていた。答えになっていないし、よくわからない。「痒いんだもん。絆創膏ある?」夜桜は、ポケットに突っ込んでいた手を出して傷口が開いてしまった腕を遠慮なしに力いっぱい引っ張った。「あっは、俺が絆創膏なんて持っているわけがない」「そう……?」相変わらず私の腕を引いたまま、まじまじと傷口を見つめている。あんまり見られたいものでもない。傷口はぱっくりと赤く口を開いたまま空気に晒されている。



「……このままじゃ、いけないね」夜桜がそういって、チュ、とリップ音を響かせて傷口付近に口をつけた。反応が遅れて短いあまり声にならなかった悲鳴をあげた。「ちょ、やめ!」汚いからやめて。と夜桜の頭を押しのけた。一度だけ、動きを止めたあとに流れている血を舌で追いかける。そして、血を舐めとる。私の言い分は全部、無視されたようだ。瘡蓋のあった位置まで口を持っていくと今度は、傷口に唇を押し付ける。舌が触れて、ひりひりとした熱い痛みに変わった。僅かな音と余韻を残して唇を離す。



「あっはははは!だって、名前につく傷は、俺がつける傷だけで十分だよ!あはははっ!」僅かに唇に付着していた、乾いてきはじめている血を舌で舐めた。そして、その傷とは別の腕を掴んでそこに噛み付いた。自身の肉についた内出血の跡と、くっきりついた夜桜の歯形。痛い、といえば楽しげに口角を持ち上げてまた、笑い出して噛み付く。可愛い顔してマジで怖い。

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