隼総



!自傷、隼総は酷め。誹謗中傷のつもりはないので
自傷している方は見ると不愉快になると思います。




血に濡れたカッターが私の肌をまた、裂いた。肉の裂ける、なんともいえない感覚。ああ、あの人は、まだ来てくれないのかな。私は此処でずーっと待っているのにな、英聖。何度、メールしただろう、何度電話しただろう。両腕がボロボロになれば次は何処を、切ればいいんだろう。最後に送った“英聖が来なかったら、死ぬ”というメールを最後に私は己の手首と腕を切り続けていた。



けたたましく鳴り響くチャイムの音が聞こえた。それから、暫くして鳴り止んだ、と思ったら誰かが玄関をくぐる音。多分、英聖がきてくれたんだ。ゆっくりと回るドアノブ、見えた紫色の髪の毛に私は動かしていた手を止めた。私をみるなり呆れたような、馬鹿にしたような表情を浮かべて、チカチカ発行している携帯を手にとり、確認する。
「また、あんなもの何十件も、送りやがって」
嘲笑を浮かべて、携帯をパタンと閉じた。目は笑っていなかった。それから、私につかつかと歩み寄ってきたと思ったら、カッターを手に取り、傷口に目をやる。



「なんだよ、そんな薄皮一枚で死ぬ死ぬ言っていたのか?死ねるわけねーだろ。そんな薄皮じゃ」
紫色に塗られた、唇がゆるやかな曲線を描いた。
「違う、違うっ!!」
私が涙に濡れた瞳で、英聖からカッターを取り上げようとすると英聖は笑いながら私にカッターを一度向けて、私に返してくれた。こびりついた血が少しだけ乾き始めていた。
「なら、死んでみろよ。俺の前で、死んでみろよ。薄っぺらな不幸自慢はもう聞き飽きたんだよ、死ねよ」
英聖に煽られながら私は、じっとりと汗をかいている手のひらでカッターを握り締めて腕に突き刺した。先程よりも、ずっとずっと力を込めて、切ったはずだったのに血が流れるだけでやっぱり死には至らない。強く引いたはずなのに、赤い線が残っているだけ。恐る恐る英聖のほうに顔を向けると、私を心底見下したような、笑顔を浮かべていた。



「やっぱり、死ねないんじゃねーか」
握り締めていた手から力が抜けた。血がこびりついたカッターが、音を立てて落ちていった。

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