リカ



リカちゃんと、二人きりで買い物なんて随分と久しぶりだった。最近までダーリン、ダーリンで私の入り込む隙間なんてなかったから。「此処、うちのお勧めのたこ焼きなんやで!名前には特別に教えてあげるで〜!特別やで!」リカちゃんの片手には二人で夕食前には多いから、と割り勘で買ったたこ焼きの袋がゆらゆらと揺れていた。公園のベンチに二人で座り、たこ焼きの蓋を開けると暖かい湯気と、ともに美味しそうなたこ焼きが目の前に現れた。本当に美味しそうだ。というか、リカちゃんのお勧めならきっと美味しいと思う。



しかし、中を見てリカちゃんが怒ったような声をあげた。「なんや!おっちゃん、爪楊枝ひとつしかつけてくれへんかった!」ケチやなぁ!名前爪楊枝もう一つ貰いにいくか?と私に、尋ねた。「いいよ、そんな時間ないし……。それに冷めちゃうよ!」と、言うとリカちゃんは納得したのか数度頷き「せやな。時間の無駄やな!じゃぁ、名前あーんしぃ?」爪楊枝一本……こうなるのは、当たり前なのかもしれないがどうも緊張してしまう。「どないしたん〜?ほら、さめちゃうで〜?」そういい、もう一度ほら、あーん。といった。私は、覚悟を決めて大きく口を開く。



熱いたこ焼きが私の口の中に放り込まれた。「今度、うちの店にもきてやー!名前なら歓迎するで!」ニッと笑うリカちゃんに心臓が跳ね上がった。たこ焼きはリカちゃんのお勧めだけあって熱々で、とても美味しかったけれど、味よりもこのことが忘れられそうにも無い。

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