雷鳴



!人脈の子だって。



あいつの声って本当煩い、あいつだったら多少遠くに居る人にでも声は届くと思う。そんな奴が毎回私の隣で喋ろう物ならば、鼓膜に大ダメージ……酷い場合は破れてしまうかもしれない。こんなこと、奴を知らない友達に言うと笑われてしまうのだけれど。だいぶ深刻である。あいつの友達は皆耳栓しているし。やっぱり自分の身は可愛いからね!破けたら本当笑えない。破れたらどうしよう。



「ごめん、雷鳴……煩いからもうちょっと離れて。お願い、鼓膜がやばい」私がこう、嘆願すると雷鳴は怒ったように目を吊り上げた。「なんでだよ!!」私は耳を手で覆った。少しでもダメージを軽減させるために。あいつはあくまでも自分の声は煩くない!と言い張るのだ。おかしな話だ。周りの人間は皆、口をそろえて「煩い」と言うのにそれを認めたがらない。「煩いとか言うなっ!!」雷鳴が喋ると必ず!マークが付くから驚きだ。しかも、これが通常会話という……。鼓膜へのダメージは半端ない。



「ていうか!!お前いつまで俺の名前を苗字で呼んでいるわけ?!いい加減名前で呼ぶ、位してくれなきゃ寂しいじゃないか!」相変わらずの声量で私にそう捲くし立てる。今の声量が雷鳴の通常ならば本気で怒鳴ったら、どうなるんだろう……?と思った。多分、地獄絵図であろう。周りは何事か、と私たちを見ていた。そりゃ、あんだけ大声を張り上げていたら(本人は普通だといっているが)皆も気になってしまうだろう。仕方が無い。「ばっ!もうちょっと声を押さえてよっ」私は、恥ずかしくて雷鳴の口を手でふさいだ。あまり反省の色は見えない。寧ろ、何故俺の口を塞いだんだ。と怒りの色すら見える。



「も、もう……わかったから、大声出さないで!……仁?」私が名前を呼ぶと、雷鳴は嬉しそうに目を細めた。そして、口をふさいでいた私の手を、払いのけた。この時点で、悪い予感はしていたんだ。「おぉ!有難う!!大好きだぜ名前!」こんなことを大声で言われた私に隠れられる場所なんてなくて、ただ俯いてこの紅潮した頬を隠すことしか出来なかった。だから、嫌だったんだ、と今更嘆いたところでどうしようもない。こいつとなんて、ロマンチックな雰囲気なんてないんだろうな。そうだろうな。

戻る

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -