礼文



ここ最近の暑さは異常だと、思う。世界中が少しずつ可笑しくなっていっているのかもしれない。北海道って雪降るイメージしかないー。とか沖縄より涼しいんでしょ?とか言う人、北海道においでよ。暑いから。温度計は三十を超えていて泣きそうになった。雪が降り積もっていた冬が恋しくなっていた。「あづ〜……礼文暑いから、うちの学校の七不思議でもどうだい?」「……うちの学校に七不思議なんてあったべか……?」この二年間白恋中に在学しているが、そんな話は聞いたことも見たことも無い。噂好きだから知っているとか……?それとも作り話?僕が、そういうのに疎いだけなのだろうか。クイ、と首を傾げた。どちらにしても僕はあまり興味が無い。



「まず一つめね!」嬉々とした表情だ。そんなにそういうのが好きなら別な中学の方がいいと思うよ。北海道にはないけど、向こうにはあったはずだから。あ、でも名前が居なくなるのは、嫌かな……。なんだかんだで僕は結構名前が好きだったりする。めちゃくちゃなところあるけれどね。「恐怖!真夏でも溶けない烈斗の万年雪!」万年雪……!僕は思わず噴出してしまった。ごめん、烈斗……わざとじゃないべ。今、そばに居ない友人に何度か詫びた。今頃、烈斗はくしゃみでもしているかもしれない。「ちょっと!それ、タブーだべさ!」ハッと気がついて僕は慌てて、名前の口をふさいだ。きっと二番目もろくなものじゃない。そうにきまっている。「しかも七不思議じゃないべ!」



「……わかんないよ?!もしかしたらあれ、溶けたとき死ぬのかも!」「んなわけないべさっ!それじゃ、烈斗の命脆すぎるべ」溶けたら死ぬって……そんな、蝋燭の炎みたいな……。「人の命は儚いものなのさ……」ふっ、と遠くを見る。嫌々、勝手にクラスメイトを殺さないで欲しいべ。大体、それ違うでしょう。人の夢と書いて儚い、見たいなやつじゃないの?「わかった、わかった……次の七不思議聞きたいべー……」諦めて適当に僕が話を逸らすと、名前はまた顔を輝かせた。「次はね、恐怖!喜多海の口は裂けている!」「マフラーしているだけでそんなに話が飛躍するのはどうかと思うべ……!」

……この調子だと、僕も七不思議のひとつだろうな……。

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