三途



!下の三途に続いたり。


お願い三途!と両手を前に合わせて名前が頼み込んできた。俺には何のことかさっぱりわからないので、俺はそのまま黙って、名前の言葉を待つことにした。名前が口を開く。「……実は、昨日出された宿題忘れていて……一問も終わっていないんだよね。ね?三途、終わっているよね?」……俺か……一応、ちゃんとやってきた。昨日出された、宿題は確か数学だけだったと記憶している。数学の教師は面倒だから、適当とはいえ解いておいた。「ああ……数学か?」「そうそうそう、数学!昨日は疲れていて忘れていたよ!」……それは、俺も同じなんだけど。俺だってサッカーの練習やっていたから随分と疲れていたよ。それでも、やったんだぞ。それは言い訳って奴だ。目でそう、訴えかけていたら名前が落ち込んだように口を開いた。



「ごめん、言い訳だわ。アイス奢ってあげるから、お願い……!数学の先生マジ、怖いじゃん!」名前が必死に俺に頼み込んでくる。断ってもいいが、どうせ粘って帰らないと思う。普段なら、絶対渡してなんかやらないんだけれど……俺は埒が明かないと気がついていた。短いため息をついた後に、俺はファイルにはさんでいた、数学のプリントを机の上に置いた。「……早く、写せよ。答え、間違っていても俺のせいにはするなよ」「わぁーい!三途、有難う!」名前が俺の机の上で、シャーペンを片手にすばやく手を動かしてプリントの答えを写し始めた。数分くらいたったあとに、シャーペンを置いてほっ、と安堵の表情を浮かべた。



「三途、有難うね!これで怒られなくてすむわ!」「ああ、アイスの奢り。忘れるなよ、今日の帰りに奢ってもらうからな」「はいはーい」調子のいい、軽い返事を返しながら名前が席に戻っていった。さ、てと。どうしてやろうかな。

戻る

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -