南雲



人間の興味は尽きることがない。新しい商品が出れば珍しさに、それを手に取る。今日だって珍しさのあまり、コンビニで買ってしまった。チョコレート味の炭酸ジュースをしげしげと眺めていた。買ったのはいいが、あまり飲む気にはなれずにいた。果たして、炭酸とチョコレートは仲が良いのだろうか。名前は意を決し、ペットボトルのキャップを捻った。そして、恐る恐るそれを口に含んで一口だけ飲んでみた。シュワシュワとした、なんともいえない味が喉を通っていった。その様子を真剣な眼差しで見守っていた晴矢が感想を求めた。「……ど、どうだ……?」「あー……うん。確かにチョコっぽい味がする。別に、飲めなくはないかな」名前が複雑そうな顔で、晴矢にペットボトルを渡した。まだ、全然量が減っていないそれからなんともいえない甘い匂いがした。「言葉でこれは、説明できないわ……。気になるなら、飲んでみなよ」晴矢は少し躊躇っている様だった。炭酸の気泡を目で追いかけつつ渡されたそれをしげしげと眺めている。「さっきの様子的に、すげぇうまいってわけじゃねーんだろ……?」「うん……。なんか複雑な味?だったかな」ただ、言葉では説明しきれない味だった、と付け加えた。



それに覚悟を決めたのか、晴矢が口をつけて数度喉を鳴らした。「……あー。うーん……チョコか……?」反応はやはり名前と似た微妙な、反応でペットボトルを返してきた。「ていうか、間接キスなのはあんまり、気にならないの?」「ばっ……おま……!」羞恥に染まった鮮やかな赤に名前は苦笑した。そういうことに疎いらしい晴矢は悔しそうに唇を噛んだ。

戻る

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -