下鶴



改と兄妹、2人とも小学生設定。

最近、妹がようやく小学三年生になって親に「もう、そろそろ名前も一人で寝なさい」と、言われたらしい。最初は名前も渋っていたのだけれど、周りの友達の中に一人でもう寝ているという子もいるらしくて、名前はしぶしぶそれを承諾し、一人で寝るといった。俺は別にまだ、名前と一緒でもいいのだけれど、母さんたちが言うのならば俺は何も言えないし、名前も渋々とは言え納得したのならば、俺はそれを咎めることはしない。



名前がいない初めての夜。時計の針が十一を刺していた。もうそろそろ寝なければ明日に支障が出るだろう。俺もそろそろ寝るかな、と此処にはいない妹に少しだけ思いを馳せた後に、ぶらり、と天井から垂れ下がっている紐を引いた。そのとき、トントンと控えめなノックが俺の部屋の扉から聞こえてきた。「……改兄ちゃん……起きている?ね、部屋に入れてくれない……?」名前のか細い声が扉越しに聞こえてきた。何処か、寂しげな俺を窺うような声。俺はそんな名前を突き放すことなんて当然、できるわけもなくて。その薄い扉を開けて名前を招き入れてしまった。薄いピンク色のパジャマを身に纏った名前が俺の部屋に入ってきた。


「まだ、寝ていなかったのか?寝なきゃ駄目だろ。明日も学校だろ?」俺が優しい声で、そういうと名前は何度か頷いて眉を下げた。本当はわかっていたのだ、急に一人で寝ろといわれても怖くて、眠れないということに。俺は平気だから、一人で眠れるけれど名前はダメで、俺が友達の家にお泊りしにいったとき名前は怖くて両親の部屋で眠ったらしい。怖がりなのだ。「うん、わかっているけど、怖くて……。改兄ちゃん今日だけ一緒に寝てくれない……?」目を潤ませた名前を見た俺は、突き放すことが出来るわけもなくて「……仕方ないな、今日だけだぞ。」と、俺は布団をポンポンと数度叩いて隣に来るように促した。



「やった、有難う。改兄ちゃん。じゃ、枕持ってくるから!」名前はそれだけいうと、元気にパタパタと暗い廊下に姿を消してしまった。枕、といっていたけれど多分、お気に入りのぬいぐるみとかも持ってくるんだろうな。名前は怖がりだから、誰もいない空間が怖いんだとか。前日も名前の隣にいた。今日も、俺のベッドはギュウギュウに狭いんだろうな。明日、両親に何か言われることは最早全て承知の上だった。俺は名前に甘い……。

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